祝! アナログ化 ~『RECORD STORE DAY』以降に初めてアナログレコードが制作された作品を紹介
2014年4月19日、アジカンことASIAN KUNG-FU GENERATIONの1stミニアルバム『崩壊アンプリファー』のアナログレコードが発売されました。
人気アニメ『NARUTO -ナルト-』(テレビ東京系列)のオープニングテーマに起用された「遥か彼方」を収録した人気作です。
ASIAN KUNG-FU GENERATION 『崩壊アンプリファー』 12″ (SPJL-001) / Japan / 2014
2002年にインディーズのUnder Flower Recordsから発表されたアジカン初の正式音源であり、翌年(2003年)Ki/oon Recordsから再リリースされたメジャーデビュー作でもある『崩壊アンプリファー』のアナログ盤は、発売直後に完売。
現在はプレミア価格で取引されているこのアナログレコードは『RECORD STORE DAY 2014』の限定商品として発売されたものです。
『RECORD STORE DAY』が初めて開催されたのは、2008年4月19日。
独立系・個人経営のレコード店を支援するイベントとして、アメリカ国内の約100店舗で12タイトルの限定アナログ盤が販売されました。
日本での初開催は2009年。現在では20ヵ国以上のレコード店で、毎年4月の第3土曜日に開催されています。
(2020~2022年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により複数日開催)
『RECORD STORE DAY』に発売される限定アイテムの中には、初めてアナログ盤がリリースされる作品も数多く含まれています。
ということで今回は、レコード人気が再燃するきっかけのひとつとなった『RECORD STORE DAY』がスタートした2008年以降に、初めてアナログレコードが制作されたアルバムやシングルを紹介します。
掲載したレコードの中には、すでにプレミア化しているものもたくさんあります。
手ばなす際は、MIONアップサイクルにご連絡ください。
目次
『レコードの日』限定商品
日本での『RECORD STORE DAY』の運営を担当しているのは、東洋化成。老舗のアナログレコード・プレスメーカーです。
その東洋化成が主催するもうひとつのビッグイベントが『レコードの日』。
⽇本レコード協会が制定したレコードの日である11月3日(※)に開催される同イベントも『RECORD STORE DAY』と同様に、初アナログ化作品を含む多くの限定盤が販売されます。
※2021年、2022年は2days開催。
■クラムボン feat. THA BLUE HERB 『あかり from HERE 〜NO MUSIC, NO LIFE.〜』
クラムボン feat. THA BLUE HERB 『あかり from HERE 〜NO MUSIC, NO LIFE.〜』 7″ (TRDS-1001) / Japan / 2015
『レコードの日 2015』限定商品として発売されたクラムボンとTHA BLUE HERBによるコラボシングル『あかり from HERE 〜NO MUSIC, NO LIFE.〜』の7インチ。
もともとはタワーレコード30周年を記念して制作された作品で、2009年に限定発売されたシングルCDは1曲入りでした。
2015年にリリースされたこの7インチは、クラムボンの8thアルバム『2010』(2010年)に収録された「あかり from HERE (clammbon side)」をカップリングした2曲入りです。
■Ann Sally 『Voyage』
Ann Sally 『Voyage』 LP (COJA-9433) / Japan / 2021
『レコードの日 2021』限定商品としてリリースされたアン・サリー『Voyage』のLP。医師として働きながら音楽活動を続ける彼女のデビュー・アルバムです。
本作が発表された2001年に、リミックスを含む4曲入りの12インチがシングルカットされていますが、アルバムはCDしか発売されなかったので、ファンにとっては嬉しいアナログ化です。
なお、2ndアルバム『moon dance』も、本作と共にアナログ化。翌年には3タイトルのLPが『レコードの日』限定商品として発売されています。
■エレファントカシマシ 『ココロに花を』
エレファントカシマシ 『ココロに花を』 LP (PCJA-00105) / Japan / 2022
エレファントカシマシが1996年に発表した8thアルバム『ココロに花を』。
「悲しみの果て」「四月の風」「孤独な旅人」といった人気シングル曲を収録した本作は、オリコン週間アルバムチャートで初めてトップ10入りした彼らの出世作です。
「かけだす男」「愛の日々」「ドビッシャー男」など、名曲ぞろいの『ココロに花を』が『レコードの日 2022』限定商品として初アナログ化。ファン必携の1枚です。
Discogsをチェックしよう!
「えっ、このアルバムってレコードも存在するんだ!」
世界最大の音楽データベースサイトとして知られるDiscogsをのぞいていると、CDで長年愛聴していたアルバムが、いつの間にかアナログ化していたことに気づくことがあります。
■SOLSTICE 『THE SENTENCING』
SOLSTICE 『THE SENTENCING』 LP (RE 02) / Greece / 2014
フロリダを拠点とするデスメタル/スラッシュメタル・バンドのSOLSTICEが、1992年に発表した1stアルバム。
少々マニアックなバンドかもしれませんが、1993年にテイチクレコードのヘヴィメタル専門レーベルMetal Maniaから、本作の国内盤CDが発売されています。
CANNIBAL CORPSEのロブ・バーレットが在籍していたバンドとしてご存じのデスメタル・ファンもいらっしゃるかもしれませんね。
彼らの1stアルバムは、バンド名を冠した『SOLSTICE』というタイトルで知られていましたが、2014年にアナログ化した際に『THE SENTENCING』に改題されています。
Bandcampに掲載されているバイオグラフィによると、本来は『THE SENTENCING』と名付けられることになっていたようですね。
本作のLPが存在することを知ったのは、2017年。
インスタグラムで相互フォローさせていただいている方が『THE SENTENCING』のアナログ盤をポストしていたので、ネットで検索。2014年にギリシャのRepulsive Echoというレーベルから発売されたクリアパープル・ヴァイナルが、Discogsに掲載されていました。
ギリシャのレコード店に新品の在庫がまだあったので、即注文。若かりしころに愛聴していた作品のLPが海外から届いたときは、感慨深いものがありました。まさか、このアルバムをレコードで聴けるとは思わなかったので。
このようなケースがあるので、頻繫にDiscogsをチェックするようになりました。
■GBH 『LIVE IN JAPAN』
GBH 『LIVE IN JAPAN』 LP (NIGHT 362) / Italy / 2022
そして、こちらもDiscogsでアナログ盤の存在を知ったレコードです。
イタリアのNight of the Vinyl Dead Recordsが500枚限定で制作したGBH『LIVE IN JAPAN』のLP。
初版の国内盤CDがリリースされた1992年から30年の時を経て、初めて制作されたアナログレコードです。
普段からDiscogs をのぞいていなければ、500枚しか生産されなかったこのLPを入手できなかったに違いありません。皆さんもぜひチェックしてみてくださいね。
国内企画盤CDが海外でアナログ化
GBH『LIVE IN JAPAN』のように、日本独自で商品化されたCD作品のアナログレコードが、海外で制作されるケースもあります。
■THE BRAND NEW HEAVIES 『SHIBUYA 357 - LIVE IN TOKYO 1992』
THE BRAND NEW HEAVIES 『SHIBUYA 357 – LIVE IN TOKYO 1992』 2LP (AJX2LP561) / UK / 2021
1997年に日本のみで発売されたTHE BRAND NEW HEAVIES『SHIBUYA 357 – LIVE IN TOKYO 1992』。
バンドを成功に導いたシンガーのエンディア・ダヴェンポートが在籍していた時代の貴重な音源です。
米ビルボードR&Bチャート3位を記録した「Never Stop」をはじめ「Dream Come True」や「Stay This Way」といったシングルをヒットさせていた最盛期のライブ・パフォーマンスをパッケージした作品は、このアルバムのみ。
長らく日本盤CDでしか聴くことができなかった本作のアナログレコードを制作したのは、イギリスのAcid Jazz Records。オリジナルのテープからリマスターを施した2枚組LPです。
■D'ANGELO 『LIVE AT THE JAZZ CAFE, LONDON: THE COMPLETE SHOW』
1996年に『D’ANGELO – Live』と題されたブートレグのLPが出回りました。EMI Recordsがプロモーション用に配布した音源が流出したようです。
ブートレグとは、著作権者に無断で製造されたレコードやCD、DVDのことで、ブートや海賊盤と呼ばれることもあります。
ブートレグLPに収録されていたのは、1995年9月14日にロンドンのThe Jazz Cafeで録音されたディアンジェロのライブ音源。1stアルバム『Brown Sugar』がリリースされたのが1995年7月3日なので、デビューから約2ヵ月後のパフォーマンスですね。
1996年10月23日、流出したものと同じライブ音源から抜粋した6曲入りのオフィシャルCDが、東芝EMIから発売(TOCP-8892)。帯には「日本独占CD化!」「ブートが高値を呼んだ幻のディアンジェロ・ライヴ 遂に正式CD化!!」と記載されていました。
2014年に『LIVE AT THE JAZZ CAFE, LONDON: THE COMPLETE SHOW』と題された完全版のCDが欧米でリリース。
そして翌年(2015年)、遂に正規盤の2枚組LP(B0024030-01)が発売されました。
D’ANGELO 『LIVE AT THE JAZZ CAFE, LONDON: THE COMPLETE SHOW』 2LP (B0024030-01) / US / 2015
国内初版CDは6曲入りのEP扱いでしたが、この2枚組LPは(イントロダクションを除く)実質10曲入りです。
厳密に言えばブートのアナログ盤が存在していた音源ですが、正規盤としてアナログレコードが制作されたのはこの2枚組LPが初めてなので、こちらで紹介しました。
Discogsをのぞいてみたところ、結構なお値段で取引されているようですね。
手ばなす際には、ぜひMIONアップサイクルにご連絡ください!
アニバーサリー・イヤーに制作されたアナログレコード
人気ミュージシャンのデビュー○○周年や、アルバム発売△△周年を記念して、アナログ盤が制作されることがあります。
予約の段階で完売してしまうことも多々あるので、好きなアーティストのアニバーサリー・イヤーは常に最新情報を入手しておくべきでしょうね。
■椎名林檎 『無罪モラトリアム』
椎名林檎 『無罪モラトリアム』 LP (TOJT-24065) / Japan / 2008
1999年2月24日に発表された椎名林檎の1stアルバム『無罪モラトリアム』。
今年(2023年)の5月24日にデビュー25周年を記念して、7タイトルのアナログ盤が同時発売されました。
最も争奪戦が激しかったのが、2枚組で発売された『無罪モラトリアム』です。しかし、このアルバムのアナログレコードが制作されたのは、今回が初めてではありません。
私が所有しているのは、2008年11月25日に発売されたLP。
デビュー10周年を記念して制作されたもので、こちらは1枚のLPに全11曲が収録されています。
この2008年版LPも、発売直後にソールドアウト。現在も高値で取引されています。
シュリンクに付いていたステッカーを丁寧にはがして、内袋に貼りました。
シュリンクというのは、商品販売時にレコードジャケットを覆うビニールのことですね。
私は破って捨てますが、シュリンク付きの中古レコードを重宝するコレクターもたくさんいらっしゃいます。
■椎名林檎 『勝訴ストリップ』
椎名林檎 『勝訴ストリップ』 2LP (TOJT-24320・21) / Japan / 2008
2008年版『無罪モラトリアム』LPと同日に発売された『勝訴ストリップ』のアナログ盤。こちらは2023年版と同様に2枚組です。
このLPも、内袋にステッカーを貼りました。
■LOVE PSYCHEDELICO 『LOVE PSYCHEDELIC ORCHESTRA』
LOVE PSYCHEDELICO 『LOVE PSYCHEDELIC ORCHESTRA』 LP (VIJL-60135) / Japan / 2015
2002年にLOVE PSYCHEDELICOが発表した『LOVE PSYCHEDELIC ORCHESTRA』。
ポカリスエットのCMソング「Free World」と、先行シングル「I will be with you」を含む全12曲を収録した2ndアルバム。
のちにフジテレビ系列で放送された刑事ドラマ『絶対零度〜未解決事件特命捜査〜』(2010年)のメインテーマに起用された「Dry Town 〜Theme of Zero〜」は、本作収録曲「dry town」の再録版です。
デビュー15周年となる2015年に、2枚のベスト盤CDと過去作品6タイトルのアナログ盤を同時発売。今回紹介した『LOVE PSYCHEDELIC ORCHESTRA』のLPも、その際にリリースされたものです。
ちなみに、アルバムタイトルの『LOVE PSYCHEDELIC ORCHESTRA』は、LOVE PSYCHEDELICOを名乗る以前のバンド名。ORCHESTRAの頭文字「O」をPSYCHEDELICの後ろにつけて、現在の名称になったそうです。
■古内東子 『魔法の手』
古内東子 『魔法の手』 2LP (MHJL 217~8) / Japan / 2022
1998年に発表された古内東子の7thアルバム『魔法の手』。
古内東子がオリコンのアルバムチャートで初めて1位を獲得したヒット作。デヴィッド・T・ウォーカー(ギター)やポール・ジャクソン・ジュニア(ギター)、ポール・ハンフリー(ドラム)といった海外の大物ミュージシャンが参加しています。
2022年9月21日にデビュー30周年プロジェクト第二弾作品として、3曲のボーナストラックを加えたアナログ盤が発売されました。
ジャズの名盤
90年代や2000年代に発表されたジャズ作品は、CDのみでリリースされたものがたくさんあります。
レコードブームのおかげで、それらの名盤がアナログ化するのは非常に喜ばしいことですね。
■JOSHUA REDMAN QUARTET 『MOODSWING』
JOSHUA REDMAN QUARTET 『MOODSWING』 2LP+CD (45643-1) / US / 2009
サックス奏者のジョシュア・レッドマンが、1994年に発表した『MOODSWING』。
ピアニストのブラッド・メルドー、ベーシストのクリスチャン・マクブライド、ドラマーのブライアン・ブレイドと共に制作した3枚目のリーダー作です。
私がジャズを聴きはじめたころに発売された作品で、初めて買ったジャズのCDが本作でした。
右も左もわからず、当時の専門誌で評価が高かった『MOODSWING』のCDと、初心者向けのジャズ入門書を参考にして集めた中古レコードをくり返し聴いて、ジャズを理解しようと躍起になっていたことを覚えています。
『MOODSWING』がアナログ化したのは、2009年。2枚のLPと共に、同内容のCDも封入されていました。
現代ジャズ・シーンを牽引する存在となった4人が2020年に再集結し、約26年ぶりのニューアルバム『ROUNDAGAIN』を発表して話題を呼んだ翌年(2021年)、アメリカとドイツで『MOODSWING』の2枚組LPが復刻されています。
■BRIAN BLADE FELLOWSHIP 『BRIAN BLADE FELLOWSHIP』
BRIAN BLADE FELLOWSHIP 『BRIAN BLADE FELLOWSHIP』 2LP (0845480) / UK, Europe & US / 2020
ブライアン・ブレイド率いるFELLOWSHIPが、1998年に発表したデビュー・アルバム。
ジョシュア・レッドマンやケニー・ギャレットのバンドに参加して頭角を現したブライアン・ブレイドが、1997年に自己のグループを結成。
メンバーは、ジョン・カワード(ピアノ、エレピ)、クリストファー・トーマス(ベース)、マイロン・ウォルデン(アルトサックス)、メルヴィン・バトラー(テナー&ソプラノサックス)、デイヴ・イーズリー(ペダルスティールギター)、そしてTORTOISEのジェフ・パーカー(ギター)。
ジョン・カワード作曲の「Lifeline」以外は、すべてブライアン・ブレイドのペンによるもの。ジャズ・マニアはもちろん、幅広いジャンルのリスナーにアピールできる優れた作品です。
本作のアナログ盤が初めて制作されたのは、2020年。Blue Note Records設立80周年を記念して2019年にスタートしたアナログレコード復刻シリーズ「Drummer Leader VINYLS」の第二弾として発売された2枚組LPです。
■BRANFORD MARSALIS QUARTET 『PERFORMS COLTRANE'S A LOVE SUPREME LIVE IN AMSTERDAM』
BRANFORD MARSALIS QUARTET 『PERFORMS COLTRANE’S A LOVE SUPREME LIVE IN AMSTERDAM』 LP (MOVLP1464) / Europe / 2015
サックス奏者のブランフォード・マルサリスが、ジョン・コルトレーンの歴史的名盤『A LOVE SUPREME』を再演したライブ・アルバム。
2003年3月30日にアムステルダムで録音された音源で、メンバーはジョーイ・カルデラッツォ(ピアノ)、エリック・レヴィス(ベース)、ジェフ・テイン・ワッツ(ドラム)。
もともとはDVD+CDの2枚組でリリースされた作品です。
(DVD単体の商品も発売されました)
2015年に本作のアナログ盤を制作したのは、オランダのMusic On Vinyl。公式ライセンスを取得した作品を、アナログレコードでリイシューするレーベルです。
■ROBERT GLASPER 『DOUBLE BOOKED』
ROBERT GLASPER 『DOUBLE BOOKED』 2LP (B0022335-01) / US / 2015
2009年に発表されたロバート・グラスパーの4thアルバム『DOUBLE BOOKED』。
アコースティック志向のTRIOと、ヒップホップやR&Bに接近したEXPERIMENTという2つのバンドによる演奏を、1枚に集約した作品です。
アルバムの前半は、ロバート・グラスパー(ピアノ)、ヴィセンテ・アーチャー(ベース)、クリス・デイヴ(ドラム)によるトリオ。
後半は、ロバート・グラスパー(ローズ)、ケイシー・ベンジャミン(サックス)、デリック・ホッジ(エレクトリック・ベース)、クリス・デイヴ(ドラム)のエレクトリック・カルテットによる演奏で、ラッパーのモス・デフ(現ヤシーン・ベイ)やシンガーのビラル、DJジャヒ・サンダンスが参加しています。
ROBERT GLASPER EXPERIMENT名義で発表した次作『BLACK RADIO』(2012年)が大ヒットを記録。第55回グラミー賞で最優秀R&Bアルバム賞を獲得していますが、個人的には『DOUBLE BOOKED』のほうが断然好み。
2015年にBlue Note Recordsの75周年を記念して『DOUBLE BOOKED』が初アナログ化。
CDはTRIOとEXPERIMENTの演奏が1枚のディスクに収められていますが、2枚組のアナログ盤はTRIOとEXPERIMENTの音源を各ディスクに分けて収録。本作のコンセプトがより伝わりやすくなっています。
愛聴盤12選
最後に12枚の愛聴盤を掲載いたします。いずれも飛び上がるくらい嬉しいアナログ・リイシューで、現在もヘビーローテーションしているものばかり。
(もちろん、すでに紹介済みのレコードの中にも、それらに匹敵する愛聴盤がたくさんあります)
■SUN RA 『SUN RA in SPACE IS THE PLACE』
SUN RA 『SUN RA in SPACE IS THE PLACE』 2LP (SP1004) / US / 2015 Reissue
サン・ラーが主演、脚本、音楽を担当した映画『SPACE IS THE PLACE』(1974年公開)のサウンドトラック。映画が公開された当時はリリースされず、1993年にCDで発表された作品です。
サンフランシスコのSutro Parkというレーベルから本作のアナログ盤がリリースされたのは、2010年。
残念ながら、私が所有しているのは2015年に再発されたクリア盤です。2010年にアナログ化していたことを知らなかったので。
2021年、映画『SPACE IS THE PLACE』が日本初公開。DVDとBlu-rayも発売されました。
万人受けする作品ではありませんが、マニアは必見ですよ!
なお、2023年5月にニューヨークのModern Harmonicというレーベルから『SPACE IS THE PLACE』のボックスセット(MH-8267)がリリースされています。
サントラ盤(2LP)に4曲入りの未発表スタジオ録音作『THE MATHEMATICS OF THE ALTERED DESTINY』を加えた3枚のLP、映画のBlu-rayとDVD、ブックレット、トートバッグを、ピザボックス仕様の箱に収めた限定3300セット。
初出となる未発表音源と素晴らしいアートワークが魅力的ですが、海外盤のBlu-ray & DVDということで購入を見送った方も多いのでは。
リージョンフリーのプレーヤーをお持ちの方はぜひ!
■ARTHUR VEROCAI featuring AZYMUTH & IVAN LINS 『ENCORE』
ARTHUR VEROCAI featuring AZYMUTH & IVAN LINS 『ENCORE』 LP (FARO 122LPX) / UK / 2017
エリス・レジーナやジョルジ・ベン、ガル・コスタといった大物ブラジル人アーティストの作品を手がけるアレンジャー/プロデューサーのアルトゥール・ヴェロカイが、2007年に発表した3rdアルバム『ENCORE』。
アルトゥール・ヴェロカイといえば、オリジナル盤LPが超高額で取引されることで知られる1stアルバム『ARTHUR VEROCAI』が人気ですが、至極の名曲「Bis」を収録した本作も素晴らしい作品です。
CDのみで発売された『ENCORE』のアナログ盤が初めて制作されたのは、2017年。
アルバム発表当時にシングルカットされた「Bis」の7インチ(JD10)も高値で取引されているので、本作のアナログ化に歓喜の声を上げたブラジル音楽ファンも少なくないはず。
B面5曲目に収録された「Filhos」には、ゲスト・ヴォーカリストとしてイヴァン・リンスが参加。
ちなみに、イヴァン・リンスの初期名盤との呼び声高い『MODO LIVRE』のアレンジを、アルトゥール・ヴェロカイが担当しています。
そして、収録曲の半数以上にAZYMUTHのメンバーが参加。2023年4月17日にご逝去されたドラマーのイヴァン・コンチも、本作で7曲叩いています。
謹んで哀悼の意を表します。
■CRAZY KEN BAND 『Soul Punch』
CRAZY KEN BAND 『Soul Punch』 2LP (PEJF-3127_8) / Japan / 2015
横山剣率いるクレイジーケンバンドが、2005年に発表した7thアルバム『Soul Punch』。名曲「タイガー&ドラゴン」を収録した人気盤です。
もともと「タイガー&ドラゴン」は、2002年に発表された5枚目のシングル。
この曲から着想を得た脚本家の宮藤官九郎が、2005年に同名のドラマを書き下ろし、オープニングテーマ曲にも起用。ドラマに合わせて再発したマキシシングルが大ヒットを記録しています。
2015年、クレイジーケンバンドのオリジナル・アルバム15作品がアナログ化。本作のLPも、この年の2月にリリースされました。
個人的には、B面1曲目の「Sweet Seoul Tripper」から2曲目「37℃」のメロウグルーヴ2連発が本作のハイライト。
■Perfume 『GAME』
Perfume 『GAME』 LP (TKJA-10062) / Japan / 2016
2008年にPerfumeが発表した大ヒット作『GAME』。
ブレイク前のシングル曲+新曲で構成された『Perfume ~Complete Best~』(2006年)に続く通算2枚目のアルバムであり、初のオリジナル・アルバムとして制作された作品です。
「ポリリズム」や「チョコレイト・ディスコ」「Baby cruising Love」といった人気シングル曲を収録した本作は、オリコン週間アルバムチャートで1位を獲得しています。
メジャーデビュー10周年を迎えた2016年に、徳間ジャパン在籍時代のアルバム5作品が一斉にアナログ化。『GAME』のLPも、その中の1枚として発売されたレコードです。
■Emi Meyer 『Curious Creature』
Emi Meyer 『Curious Creature』 LP (HRLP110) / Japan / 2018
アメリカ人の父と日本人の母を持つシンガーソングライター、エミ・マイヤーのデビュー・アルバム『Curious Creature』。
ライブを観に行った際に、サインを入れていただきました。
初版は、2007年にオレゴン州ポートランドを拠点とするCD Baby, Inc.からリリースされたUS盤CD。
ボーナストラックとして日本語詞の「君に伝えたい」を加え、ジャケットを新装して2009年に発売された国内盤CDは、多くのCDショップのジャズ・チャートで首位を獲得。同作のヒットによって、i-Tunes Storeジャズ・カテゴリーの年間ベスト・ニュー・アーティストにも選ばれています。
2018年に『RECORD STORE DAY』限定商品としてアナログ化。180g重量盤です。
■シアターブルック 『ありったけの愛』
シアターブルック 『ありったけの愛』 7″ (MHKL 16) / Japan / 2019
1995年のメジャーデビューマキシシングル『CALM DOWN』に収録されたシアターブルックの「ありったけの愛」が、2019年にアナログ化。
佐藤タイジさんのサイン入りです。
発表当時、多くのFM局でパワープレイされた「ありったけの愛」は、自他共に認める彼らの代表曲。シアターブルックのライブはもちろん、タイジさんのソロライブでも演奏されています。
カップリングは2014年に発表されたシングル「もう一度世界を変えるのさ」。
100%太陽光発電で生まれた電気を活用して、レコーディングやミックス、マスタリングといった全作業を行った作品です。
■小野リサ 『BRASIL』
小野リサ 『BRASIL』 LP (TYOLP1018) / Japan / 2019
2014年にデビュー25周年を迎えた小野リサが、リオのミュージシャンたちと共に制作した『BRASIL』。
サンパウロ出身の小野リサが原点に立ち返り、サンバやボサノヴァの楽曲を取り上げています。
アレンジを手がけたのは、マリオ・アジネー。アントニオ・カルロス・ジョビンとの共演で知られるシンガーソングライター/コンポーザーですね。
小野リサのアルバムの多くはCDしか制作されていませんでしたが、2018年に1stアルバム『CATUPIRY』と2ndアルバム『Nanã』がアナログ・リイシュー。翌年(2019年)『BRASIL』も初アナログ化が実現しました。
彼女が歌う「Upa Neguinho」や「Bim Bom」「Mas Que Nada」「Roda」といった名曲を堪能できる本作のアナログ化を待ち望んでいたファンも多いのでは。
■岡村靖幸 『家庭教師』
岡村靖幸 『家庭教師』 LP (MHJL 174) / Japan / 2021
1990年に発表された岡村靖幸の4thアルバム『家庭教師』が、2021年11月16日に初アナログ化。最新リマスター音源を使用した180g重量盤です。
2023年2月10日にご逝去された信藤三雄氏が手がけたミラーギミックの特殊仕様。
商品出荷時はこの状態です。
ラベルが見えるようにレコードを入れると、オリジナルのCDと同じデザインになる仕組みですね。
特典として、特製スリーブケースも付いていました。
この記事を作成している時点で、Sony Music Shopやいくつかのレコードショップに在庫がありました。リプレスされたのかもしれませんね。
気になる方はチェックしてみてください。
■DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN 『REPORT FROM IRON MOUNTAIN』
DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN 『REPORT FROM IRON MOUNTAIN』 2LP (PLP-7151/2) / Japan / 2021
菊地成孔(きくちなるよし)率いるDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENが、2001年に発表した1stアルバム『REPORT FROM IRON MOUNTAIN』。
『アイアンマウンテン報告』という日本語タイトルでも知られる名盤です。
本作発売後に「Play Mate at Hanoi」と「S」をカップリングした10インチシングルや、2種類のリミックス12インチEPが発売されていますが、アルバムのアナログレコードがリリースされたのは2021年。
注目は、初めてアナログ化した菊地雅章(きくちまさぶみ)「Circle/Line」のカバー。
ライブの定番であり「この曲を演奏することがバンド結成の目的のひとつ」と菊地成孔が語る「Circle/Line」。2012年にDCPRG名義で発表された『SECOND REPORT FROM IRON MOUNTAIN USA』でも再録された重要曲です。
メンバー全員が異なるリズムを演奏する代表曲「Catch 22」をレコードで聴くことができるのも、嬉しい限り。
この2枚組LPを聴くたびに、アルバム発表直後(2001年)に初めてライブを観て衝撃を受けたことを思い出します。
■Leyona 『風をあつめて』
Leyona 『風をあつめて』 7″ (DOKL 7135) / Japan / 2021
2001年に発表されたLeyonaの3曲(+シークレットトラック)入りマキシシングル『風をあつめて』から、タイトル曲と「Careless Love」の2曲を抜粋した7インチ。
はっぴいえんどの名曲をカバーした「風をあつめて」は、東レの企業CMに起用されて話題を呼びました。
今回掲載した7インチは、GREAT TRACKS Order Made Vinylというプロジェクトによって、2021年にアナログ化したもの。
リクエストに基づいてエントリーされたタイトルの中から、規定予約枚数に達した商品を限定販売するシステムで、私もエントリー開始直後にオーダーしました。
■ECD 『失点 in The PARK』
ECD 『失点 in The PARK』 2LP (FJPLP-001/2) / Japan / 2022
ラッパー/トラックメイカーのECDが、2003年に発表した『失点 in The PARK』。
1996年に伝説のヒップホップ・イベント『さんピンCAMP』を主催し、日本語ラップ・シーンを牽引したECDが、メジャーレーベルから離れて完全自主制作した初のアルバム。
本作のリリースを皮切りに、ジャンルを超えたアンダーグラウンド・シーンから支持を集めるようになります。
初版の自主制作CDがプレミア化し、2008年にはP-Vine Recordsから再発CDがリリースされている人気作『失点 in The PARK』のアナログレコードが初めて制作されたのは、2022年。
盟友illicit tsuboiが監修した2枚組LPです。
2018年1月24日にご逝去されたECDこと石田義則さんの代表作『失点 in The PARK』。ぜひレコードで聴いてみてください。
■森高千里 『私がオバさんになっても』
森高千里 『私がオバさんになっても』 7″ (WQKL-18) / Japan / 2023
1992年にリリースされた森高千里の代表曲「私がオバさんになっても」。日本テレビ系ドラマ『まったナシ!』の主題歌に起用された16枚目のシングルです。
売上枚数は、最大のヒット曲となった「二人は恋人」(1995年)や、アサヒビールのテレビCM「気分爽快」(1994年)のほうが上回りますが、森高千里といえばやはりこの曲。多くのアーティストにカバーされている名曲です。
2023年7月26日、森高千里の7インチが3タイトル同時発売。「私がオバさんになっても」も初のアナログ化が実現しましたが、オリジナルの8センチ(3インチ)シングルCDとは収録内容が異なります。
8センチCDは「私がオバさんになっても(シングル・ヴァージョン)」と「自転車通学」の2曲入り。
7インチは、8センチCDとはアレンジが異なる「私がオバさんになっても(アルバム・ヴァージョン)」をA面に収録。
B面は、2012年にスタートした森高千里公式YouTubeチャンネルの独占企画「200曲セルフカヴァー」の最後に披露された「私がオバさんになっても(スロー・ヴァージョン)」。
森高ファン待望の1枚です
執筆:五辺宏明