海外と国内のアーティストがコラボした作品をレコードで聴いてみよう!
レコードショップやDiscogsといったサイトをチェックしていると、海外と国内のアーティストによる意外なコラボ作品に遭遇することがあります。欧米の大物プロデューサーが国内ミュージシャンのアルバムを手がけていたり、日本人ミュージシャンが海外作品に参加していたり。
長年所有していたレコードのクレジットを確認して、驚くこともあります。
REBECCA 『REMIX REBECCA』 LP (28AH2176) / Japan / 1987
私が高校に通っていた1987年に発売された『REMIX REBECCA』。
「フレンズ」(1985年)の大ヒット以降、快進撃を続けていたレベッカが初めて制作したリミックス・アルバムであり、初のベスト・アルバムでもある本作は、オリコン週間アルバムチャート1位を獲得しています。
ちなみに、私はこのアルバムで「リミックス」という音楽用語を知りました。
本作の1曲目に収録された「Raspberry Dream」を手がけているのは、フランソワ・ケヴォーキアン&ロン・セント・ジャーメイン。
ニューヨーク・ハウスの重鎮であるフランソワ・Kと、LIVING COLOURやBAD BRAINSの名盤をプロデュースしたジャーメインが、レベッカのヒット曲をリミックスしていたことに気づいたのは、10年以上経ってから。久々にレコード棚から引っ張り出した『REMIX REBECCA』のジャケットを見て驚きましたよ!
ということで今回は、国内外のアーティストが共演した作品を紹介します。
レコード歴の長いリスナーの方々にとっては意外性のない組み合わせでも、若い音楽ファンには新鮮に感じられるコラボもあるかもしれませんので、最後までどうぞお付き合いください。
(2022年7月に公開した和モノやシティ・ポップのレコードを紹介した記事で70~80年代の作品を数多く取り上げているので、今回は90年代以降の作品を多めに掲載しました)
目次
海外アーティストがリミックス/ダブミックスした国内アーティストの作品
■中谷美紀『vague』
中谷美紀『vague』 LP (FLJG-9010) / Japan / 1997
1997年に発表された中谷美紀の2ndアルバム『cure』の楽曲を、国内外のアーティストがリミックスした『vague』のアナログ盤。海外からはスヌーズことドミニク・ダルカン、アンドレア・パーカー、DJカム&キューティー・Bが参加しています。
パーカーが手がけた「Superstar」はレオン・ラッセル&ボニー・ブラムレットのカバーですが、それ以外は2023年3月28日にご逝去された坂本龍一さんが書いた楽曲をリミックスしたものです。坂本さんは、90年代から2000年代初頭にかけて制作された中谷美紀作品のプロデューサーを務めていました。
謹んで哀悼の意を表します。
■SHAKKAZOMBIE 『KOKORO WARP (4 HERO Remix)』
SHAKKAZOMBIE 『KOKORO WARP (4 HERO Remix)』 12″ (COVIN0004) / Japan / 2000
OSUMI(MC)、HIDE-BOWIE(MC)、TSUTCHIE(トラックメイカー)からなるヒップホップ・グループ、SHAKKAZOMBIEの「KOKORO WARP」を、4 HEROがリミックス。
「KOKORO WARP (4 Hero Dancehall Mix)」と「KOKORO WARP (4 Hero Friday Nite Mix)」の2バージョンを提供しています(どちらもインスト付き)。
この12インチは、国内外の人気DJによるリミックスと、ロックバンドとのセッションで構成されたセルフカバー・アルバム『S-SENCE 2000』からのアナログカット(※)。
同じアルバムからSHAKKAZOMBIEとBRAHMANがコラボした「KOKORO WARP (BRAHMAN Remix)」を収録した12インチもカットされているので、そちらもぜひ。
※「KOKORO WARP (4 Hero Dancehall Mix)」はアルバム未収録。
■KING JAMMY meets DRY & HEAVY 『IN THE JAWS OF THE TIGER』
KING JAMMY meets DRY & HEAVY 『IN THE JAWS OF THE TIGER』 2LP (BRLP-30) / Japan / 2000
七尾”DRY”茂大(ドラム)と秋本”HEAVY”武士(ベース)によるリズムセクション、DRY & HEAVYの作品を、レゲエ/ダブ界を代表する名プロデューサーのキング・ジャミーがダブミックスした『IN THE JAWS OF THE TIGER』(2000年)。
七尾と秋本が、DRY & HEAVY CONNECTIONの力武啓一(ギター)、堀口馨(ギター)、外池満広(キーボード)、内田直之(ミキシング、エンジニア)、井上青(ヴォーカル)、Likkle Mai(ヴォーカル)と共に作り上げた2ndアルバム『ONE PUNCH』(1998年)や3rdアルバム『FULL CONTACT』(2000年)などの楽曲を、ジャミーが再構築した名盤です。
■MISIA 『SHININ' (JOAQUIN "JOE" CLAUSSELL Remix)』
MISIA 『SHININ’ (JOAQUIN “JOE” CLAUSSELL Remix)』 promo 12″ (RMVS-002) / Japan / 2005
日本を代表する女性シンガーのMISIAが、2005年に配信限定でリリースしたシングル「SHININ’ 〜虹色のリズム〜」を、ホアキン・ジョー・クラウゼルがリミックス。
MISIAは、MASTERS AT WORKやジュニア・ヴァスケス、ヘックス・ヘクターといったハウス系の大物プロデューサーを起用したリミックス・バージョンを数多く発表しています。
ジョー・クラウゼルの盟友、フランソワ・ケヴォーキアンも「Sweet Pain」をリミックスしていますね。
■kuniyuki 『remixed vol. 1』
kuniyuki 『remixed vol. 1』 12″ (mule musiq 28) / Japan / 2008
札幌を拠点に活動するKuniyuki Takahashiの名曲「All These Things」を、セオ・パリッシュがリミックス。
2007年に発表した2ndアルバムのタイトルにも起用された「All These Things」は、のちにジョー・クラウゼルもリミックスしている人気曲です。
今回掲載した12インチは、2008年にmule musiqからリリースされたオリジナル盤。2022年にはピクチャースリーブ付きのリイシュー盤が発売されています。
国内アーティストがリミックスした海外アーティストの作品
■SPEECH 『The Hey Song (ram jam world Remix)』
SPEECH 『The Hey Song (ram jam world Remix)』 12″ (WQJB-1006) / Japan / 1998
1998年にSPEECHが発表した2ndアルバム『HOOPLA』からシングルカットされた「The Hey Song」を、朝本浩文&吉村健一がリミックス。ram jam worldらしいキャッチーなドラムンベースに仕上がっています。
4 NON BLONDES「What’s Up」を引用した「The Hey Song」は、日本でもヒットしたSPEECHの人気曲ですね。
■FEMI KUTI 『SHOKI REMIXED』
FEMI KUTI 『SHOKI REMIXED』 12″ (USBL-001) / Japan / 2000
フェミ・クティが1998年にリリースした『SHOKI SHOKI』の楽曲を、4組の国内アーティストがリミックスした国内企画盤。
小林径、井上薫(chari chari)、CALM、INDOPEPSYCHICSが各々の持ち味を存分に発揮した素晴らしい仕上がりです。
INDOPEPSYCHICSが手がけた「Sorry Sorry (indopepsychics syncopick re.re.re.re_program)」は、持ち味が発揮されすぎて原形をとどめていませんけど(笑)。
残念ながら『SHOKI SHOKI』は、CDとカセットテープのみの発売。LPは制作されていません。父フェラ・クティの遺志を継ぐアフロビートの傑作なので、ぜひアナログ化していただきたいです。
■DJ SPINNA 『Outta Time (breakthrough remix)』
DJ SPINNA 『Outta Time (breakthrough remix)』 promo 12″ (JSV-021) / Japan / 2006
THE FREE RADIKALZをフィーチャーしたDJスピナの「Outta Time」を、DJ JIN(RHYMESTER)率いるbreakthroughがリミックス。
スピナの3rdアルバム『INTERGALACTIC SOUL』(2006年)の日本盤ボーナストラックとして制作された「Outta Time (breakthrough remix)」と、この12インチのみに収録された「Outta Time (breakthrough bass dub)」をカップリングした限定プロモ盤です。
■AMERIE 『Take Control (Old Nick Mix)』
AMERIE 『Take Control (Old Nick Mix)』 promo 12″ (SDJI 80019) / Japan / 2007
2007年に発表されたエイメリーの3rdアルバム『BECAUSE I LOVE IT』のプロモーション用12インチ。DJ HASEBEが手がけた「Take Control (Old Nick Mix)」を収録しています。
日本やイギリスでヒットを記録した『BECAUSE I LOVE IT』。しかし、ウォルマートやFYEといった小売企業で独占販売された本国アメリカではヒットに至らず。
Wikipediaによると、のちに米Columbia Recordsからも販売されたようですが、すでにエイメリーとの契約が終了していたため、プロモーションは行われなかったとのこと。
■ROLAND APPEL 『The Remixes Vol. 1』
ROLAND APPEL 『The Remixes Vol. 1』 12″ (SK198) / Germany / 2009
ドイツを代表するクロスオーヴァー・ユニット、TRÜBY TRIOのメンバーとして知られるローランド・アペルが2008年に発表したソロアルバム『TALK TO YOUR ANGEL』の収録曲「Dark Soldier」を、DJ KAWASAKIがリミックス。
DJヘルや元URのDJ3000といったテクノ系DJにもプレイされた好リミックスで、個人的にはオリジナルよりも断然好み。
海外アーティストが参加した国内アーティストの作品
■Towa Tei 『SOUND MUSEUM』
Towa Tei 『SOUND MUSEUM』 LP (MFJP-1008) / Japan / 1997
1997年に発表されたテイ・トウワの2ndソロアルバム『SOUND MUSEUM』。
カイリー・ミノーグ、ベベウ・ジルベルト、バハマディア、ビズ・マーキー、モス・デフといった名だたるアーティストが参加しています。
国内からは細野晴臣、矢野顕子、森高千里らが参加。こちらも豪華な顔ぶれですね。
■Leyona 『NITE CLUB』
Leyona 『NITE CLUB』 12″ (ESJL 3061) / Japan / 2002
2002年にリリースされたLeyonaの4曲入り12インチ。
ジャズやブルースといったルーツ・ミュージックを取り入れたサウンドで人気を博していたフィラデルフィアのオルタナティブヒップホップ・バンド、G. LOVE & SPECIAL SAUCEを迎えて制作された「The Beat Goes On」を収録。1999年に発売された2ndマキシシングルのタイトル曲です。
■REBEL FAMILIA with MAX ROMEO 『BABYLON FALL - Quality Cutz -』
REBEL FAMILIA with MAX ROMEO 『BABYLON FALL – Quality Cutz -』 12″ (FMR-057) / Japan / 2006
2001年にDRY & HEAVYを脱退したベーシストの秋本”HEAVY”武士が、GOTH-TRADと結成したREBEL FAMILIAの12インチ。
60年代から活動を続けるレゲエ・シンガーのマックス・ロメオを迎えた「Zion Rise (Dub)」、UKジャングル・シーンなどで活躍するMCデュオのTHE RAGGA TWINSをフィーチャーした「Flavor for Your Ears」を収録したアナログ盤です。
■THE HEAVYMANNERS 『THE HEAVYMANNERS EP』
THE HEAVYMANNERS 『THE HEAVYMANNERS EP』 12″ (FMR110) / Japan / 2008
2008年にリリースされたTHE HEAVYMANNERSの12インチ。こちらも秋本武士を中心に結成されたバンドですね。
セルフタイトルを冠した1stアルバムからカットされた4曲入りのアナログ盤。「We ‘A’ Soldiers」にイエローマン、「Rebel」にスライ・ダンバーが参加しています。
■DJ Mitsu the Beats 『Promise in Love feat. José James』
DJ Mitsu the Beats 『Promise in Love feat. José James』 7″ (JSV-070) / Japan / 2009
仙台のヒップホップ・グループ、GAGLEのDJ Mitsu the Beatsが2009年に発表した2ndソロアルバム『A WORD TO THE WISE』から先行カットされた「Promise in Love」の7インチ。2016年にリプレス盤も発売された人気シングルです。
のちに名門Blue Note Recordsから作品を発表するホセ・ジェイムズをヴォーカリストに起用。ホセの盟友であるトランペッターの黒田卓也も参加しています。
■cro-magnon 『Midnight Magic feat. ROY AYERS』
cro-magnon 『Midnight Magic feat. ROY AYERS (DJ KAWASAKI 45Edit)』 7″ (HR7S180) / Japan / 2020
大竹重寿(ドラム)、コスガツヨシ(ベース、ギター)、金子巧(キーボード)からなるスリーピース・ジャム・バンドのcro-magnonが、大物ヴァイブラフォン奏者のロイ・エアーズを迎えて制作した「Midnight Magic」。2009年に発表された4thアルバム『4U』のリード曲です。
今回掲載したのは、2020年にKAWASAKI RECORDSから発売された7インチ。レーベルを主宰するDJ KAWASAKIによるエディット・バージョンです。B面には、同バージョンのインストを収録。
■DJ Deckstream 『SOUNDTRACKS 2』
DJ Deckstream 『SOUNDTRACKS 2』 2LP (MRL1980-1027LP) / Japan / 2009
2009年に発表されたDJ Deckstreamの2ndアルバム『SOUNDTRACKS 2』。
1stアルバム『SOUNDTRACKS』(2007年)にも海外の人気アーティストが参加していましたが、本作にはT-ボズ(TLC)、エンディア・ダヴェンポート(THE BRAND NEW HEAVIES)、モス・デフ、NICE & SMOOTHなど、前作を上回る豪華客演陣が名を連ねています。
■Makoto 『Tower of Love / Keep Me Down』
Makoto 『Tower of Love / Keep Me Down』 12″ (HE001) / Japan / 2011
UKを拠点に活動するMakotoが、2011年に発表した12インチ。
ドラムンベースDJ/プロデューサーとして知られるMakotoが、ソウルやジャズ、ハウスなどの要素を取り入れて制作した3rdアルバム『SOULED OUT』(2011年)から先行カットされたシングルです。
「Tower of Love」にフィーチャーされたポール・ランドルフは、JAZZANOVAやアンプ・フィドラー、カール・クレイグとの共演で知られるシンガーソングライター/ベーシスト。
「Keep Me Down」を歌うアンジェラ・ジョンソンは「Make Me Happy」のヒットで知られるCOOLY’S HOT BOXの元ヴォーカリストですね。
■mouse on the keys 『Stars Down feat. Dominique Fils-Aimé』
mouse on the keys 『Stars Down feat. Dominique Fils-Aimé』 7″ (hr7s110) / Japan / 2018
海外からの評価も高いインストゥルメンタル・バンドのmouse on the keysが、カナダの新世代R&Bシンガーのドミニク・フィス・エメを起用した「Stars Down」の7インチ。
ヴォーカルやポエトリー・リーディングを取り入れて2018年に発表した3rdアルバム『tres』からのシングルカットで、アルバム・バージョンとSo Inagawaによるリミックスを収録しています。
ドミニクは、2020年に『STAY TUNED!』で世界デビューを果たした注目の女性シンガーですね。
■SUPER JUNKY MONKEY 『R.P.G / IF』
SUPER JUNKY MONKEY 『R.P.G / IF』 7″ (DQKL 7113) / Japan / 2020
2020年に発売されたSUPER JUNKY MONKEYの7インチ。
1996年12月に発表された『SUPER JUNKY ALIEN』収録の「R.P.G」と、同年4月発表の『PARASITIC PEOPLE / 地球寄生人』の収録曲「IF」をカップリングしたものです。
B面の「IF」に、ニューヨーク・ハードコア・シーンを代表するSICK OF IT ALLのルー・コラーとピート・コラーがゲスト・ヴォーカリストとして参加。同曲のミュージックビデオにも出演していました。
稀代のヴォーカリスト、Mutsumiの没後20年となる2019年に行われた2daysイベントのラストに演奏された「IF」は、バンドにとってもファンにとっても重要な曲です。
国内アーティストが参加した海外アーティストの作品
■RICHARD DAVIS 『FANCY FREE』
RICHARD DAVIS 『FANCY FREE』 LP (SMJ-6248) / Japan / 1978
ジャズ・ベーシストのリチャード・デイビスが1977年にリリースした『FANCY FREE』。
アメリカのGalaxy Recordsから発表された作品で、我が家にあるのはビクター音楽産業から翌年発売された日本盤LPです。
参加メンバーは、エディ・ヘンダーソン(トランペット)、ジョー・ヘンダーソン(テナーサックス)、スタンリー・カウエル(ピアノ、エレピ)ビリー・コブハム(ドラム)、そしてDolly Hirotaこと弘田三枝子(ヴォーカル)。
唯一のヴォーカル曲「I Still Love You, Baby」を歌うDolly Hirotaが弘田三枝子の別名義であることは、日本盤LPのライナーノーツに記載されています。
■BASEMENT JAXX 『REMEDY』
BASEMENT JAXX 『REMEDY』 2LP (XLLP 129) / UK / 1999
サイモン・ラトクリフとフィリックス・バクストンからなるBASEMENT JAXXの1stアルバム『REMEDY』。UKアルバム チャートで4位を記録した大ヒット作ですね。
B面5曲目の「Always Be There」に、Monday満ちるがヴォーカリストとして参加しています。
Monday満ちるは、レイ・ヘイデンやIG・カルチャー、ホアキン・ジョー・クラウゼル、クリス・ブラン(P’TAAH、ANANDA PROJECT)といった数多くの海外アーティストと共演しています。
イタリア系アメリカ人サックス奏者のチャーリー・マリアーノを父に持つ米国育ちの彼女を、国内アーティストとして扱うのは気が引けますが、シンガーとしての活動をスタートさせたのが日本なので。
■UR presents GALAXY 2 GALAXY 『A HITECH JAZZ COMPILATION』
UR presents GALAXY 2 GALAXY 『A HITECH JAZZ COMPILATION』 2LP (SUBLP-3010-1) / US / 2005
マッド・マイクことマイク・バンクス率いるUNDERGROUND RESISTANCEの別名義ユニット、GALAXY 2 GALAXYの楽曲を編纂したコンピレーション・アルバム。
先に発売された2枚組CDは23曲入りですが、この2LPは全8曲。しかし、CD未収録の「Uplifted」や「UR.COM」を聴くことができるので、スルーするわけにはいきません。
新曲として本作に収録された「Momma’s Basement」に、サックス奏者の藤原大輔(phat / quartz-head)が参加しています。
このコンピが発表された2005年、ダンスミュージックを中心とした大型フェス『メタモルフォーゼ』にGALAXY 2 GALAXYが出演。藤原大輔と共にプレイされた「Hi-Tech Jazz」を聴いて感動したことを今でも覚えています。
■A TRIBE CALLED QUEST 『WE GOT IT FROM HERE... THANK YOU 4 YOUR SERVICE』
A TRIBE CALLED QUEST 『WE GOT IT FROM HERE… THANK YOU 4 YOUR SERVICE』 2LP (88985377871) / US / 2016
2016年に発表されたA TRIBE CALLED QUESTのラスト・アルバム『WE GOT IT FROM HERE… THANK YOU 4 YOUR SERVICE』。
鍵盤奏者のBIGYUKIこと平野雅之が8曲参加。B面3曲目の「Melatonin」にはソングライターとしてもクレジットされています。
本作は、ビルボード週間アルバムチャートで1位を記録。日本人アーティストが参加したアルバムが全米1位を獲得したのは、ジョン・レノン&オノ・ヨーコ『DOUBLE FANTASY』以来36年ぶりです。
■DÉLUGE 『ÆGO TEMPLO』
DÉLUGE 『ÆGO TEMPLO』 2LP (3984-15736-1) / Germany / 2020
フランスのポスト・ブラックメタル・バンド、DÉLUGEの2ndアルバム『ÆGO TEMPLO』。
envyのヴォーカリスト、深川哲也が「Gloire Au Silence – 沈黙への栄光」に参加しています。
国内のみならず欧米やアジア諸国でも絶大な人気を誇るenvy。
新型コロナウイルスの影響により2度の延期を経て開催された世界最大級のメタル・フェス『HELLFEST 2022』(2022年6月17~19、23~ 26日)の2日目に出演。Valleyステージのヘッドライナーを務めています。
国内外アーティストが共同名義で発表した作品
■菊地雅章+ギル・エヴァンス・オーケストラ 『MASABUMI KIKUCHI + GIL EVANS』
菊地雅章+ギル・エヴァンス・オーケストラ 『MASABUMI KIKUCHI + GIL EVANS』 LP (FX-8525) / Japan / 1972
マイルス・デイヴィスと数多くの名作を世に送り出したギル・エヴァンスが、菊地雅章の招きによって来日した際に制作されたビッグバンド作品(1972年録音)。
ギルと同行したビリー・ハーパー(テナーサックス)とハンニバル・マーヴィン・ピーターソン(トランペット)が参加しています。
菊地雅章は、エルヴィン・ジョーンズやジョー・ヘンダーソン、ソニー・ロリンズといったジャズ・ジャイアンツと共演した日本ジャズ界を代表するピアニスト。
1978年にはマイルス・デイヴィスともセッションを行っていますが、残念ながらその音源は公式にリリースされておりません。
■TOSHINORI KONDO, ERALDO BERNOCCHI, BILL LASWELL 『CHARGED』
TOSHINORI KONDO, ERALDO BERNOCCHI, BILL LASWELL 『CHARGED』 2LP (AMB 9955) / Belgium / 1999
近藤等則、ビル・ラズウェル、エラルド・ベルノッチの共同名義で1999年に発表された『CHARGED』のアナログ盤。2020年10月17日に永眠された近藤さんのサイン入りです。
ベルギーの名門テクノ・レーベルとして知られるR & S Records のアンビエント部門として設立されたApolloからのリリース。ジャズやブレイクビーツ、ドラムンベースなどの要素を取り入れたジャンルレスな名盤です。
■REGGAE DISCO ROCKERS feat. HORACE ANDY 『REGGAE DISCO ROCKERS presents HORACE ANDY e.p.』
REGGAE DISCO ROCKERS feat. HORACE ANDY 『REGGAE DISCO ROCKERS presents HORACE ANDY e.p.』 10″ (SDZA-4001) / Japan / 1999
高宮紀徹(たかみやきてつ)率いるREGGAE DISCO ROCKERSが、ホレス・アンディを迎えて制作した4曲入りEP。高宮紀徹の兄、高宮永徹(たかみやえいてつ)が主宰するFlower Recordsからリリースされた10インチです。
2022年に発表された最新作『MIDNIGHT ROCKER』が高い評価を得たことも記憶に新しいレゲエ界のレジェンドであるホレス・アンディの名曲「Lonely Woman」と「Bless You」をリメイク。
朝本浩文が手がけた「Lonely Woman (ram jam HIROO mix)」、高宮兄弟による「Bless You Dub」も秀逸です。
■MARVA WHITNEY with OSAKA MONAURAIL 『I AM WHAT I AM』
MARVA WHITNEY with OSAKA MONAURAIL 『I AM WHAT I AM』 LP (SHOUT-203) / Japan / 2006
ジェームス・ブラウン・ファミリーの歌姫として知られるマーヴァ・ホイットニーが、オーサカ=モノレールと共に制作した『I AM WHAT I AM』。2006年に実現した初の日本ツアーの合間をぬって制作されたアルバムです。
36年ぶりに発表されたマーヴァ・ホイットニーの新作ということで、大きな話題を呼びました。
■WONK × THE LOVE EXPERIMENT 『BINARY』
WONK × THE LOVE EXPERIMENT 『BINARY』 LP (BNR-0101LP) / Japan / 2017
国内フューチャーソウル・シーンで活躍するWONKと、ニューヨークを拠点とするTHE LOVE EXPERIMENTが2017年に発表したコラボ作品『BINARY』。
WONKとTHE LOVE EXPERIMENTのメンバーが顔を合わせることはなく、データのやり取りのみで制作されたとのこと。
本作がリリースされた翌年(2018年)、ブルーノート東京&名古屋、ビルボードライブ大阪で共演ライブが実現しています。
海外プロデューサーを起用した国内アーティストの作品
■原田知世 『clover』
原田知世 『clover』 LP (CMRS-0022) / Japan / 2018
THE CARDIGANSをヒットさせてスウェディッシュポップ・ブームを巻き起こしたトーレ・ヨハンソンと、ムーンライダーズの鈴木慶一が5曲ずつプロデュースした原田知世の12thアルバム『clover』。
1996年5月17日に発表された本作は、トーレ・ヨハンソンが初めてプロデュースした日本人アーティストの作品です。
前半をヨハンソン、後半を鈴木がプロデュースしているので、AB面に分かれたLPを想定したかのようなアルバムですが、発表当時にリリースされたのはCDだけでした。
次作『I could be free』(1997年)、次々作『Blue Orange』(1998年)と共に、本作のアナログ盤が制作されたのは2018年。22年の時を経て『clover』がアナログ化されたことは、本当に喜ばしいことです。
■原田知世 『I could be free』
原田知世 『I could be free』 LP (CMRS-0023) / Japan / 2018
そしてこちらが、1997年に発表された13thアルバム『I could be free』のアナログ盤。
トーレ・ヨハンソン全面プロデュースによる人気作ですね。このアルバムを原田知世の代表作に挙げる音楽ファンも多いのでは。
のちに再録された「ロマンス」や「愛のロケット」をはじめ、捨て曲なしの名盤です。
■Bonnie Pink 『犬と月』
Bonnie Pink 『犬と月』 12″ (PCJA-00035) / Japan / 1998
1998年に発売されたボニー・ピンクの12インチ『犬と月』。
同時発売されたシングルCDとは別バージョンの「犬と月 (Full Length Version)」と、既発曲で構成された4曲入りのアナログ盤。すべてトーレ・ヨハンソンのプロデュース曲です。
B面の「Do You Crash?」と「かなわないこと」を収録したマキシシングルが発表されたのが1996年9月20日なので、原田知世とほぼ同時期にヨハンソンを起用していたということになりますね。
■RHYMESTER / ZEEBRA 『マイクの刺客 / The Untouchable』
RHYMESTER / ZEEBRA 『マイクの刺客 / The Untouchable』 12″ (12NL005A) / Japan / 1997
1997年にリリースされたRHYMESTERとZEEBRAのスプリット。日本語ラップ・シーンをサポートするNext Level Recordingsが制作した12インチです。
RHYMESTER「マイクの刺客」はD.I.T.C.のバックワイルド、ZEEBRA「The Untouchable」はGANG STARRのDJプレミアによるプロデュース。
ZEEBRAさん、RHYMESTERの宇多丸さん、Mummy-Dさん、DJ JINさんのサイン入りです。
■PUSHIM feat. DJ PREMIER 『Set Me Free』
PUSHIM feat. DJ PREMIER 『Set Me Free』 12″ (AIJT 5091) / Japan / 2000
DJプレミア作品をもう1枚。
“クイーン・オブ・レゲエ”ことPUSHIMが、プレミアを迎えて制作した「Set Me Free」(2000年)。
前年にメジャーデビューした人気レゲエ・シンガーと、ニューヨーク・ヒップホップ界のトップ・プロデューサーとのコラボレーションは、早耳の音楽ファンから注目を集めました。
■ACO 『Material』
ACO 『Material ~Limited Edition~』 2LP (SYUM 0181~0182) / Japan / 2001
2001年に発表されたACOの5thアルバム『Material』の限定アナログ盤。
14曲中6曲を、UKダブシーンを牽引するエイドリアン・シャーウッドと盟友スキップ・マクドナルドが共同プロデュース。シャーウッドはアラン・ブランチと共に「星ノクズ -dub version-」のミックスも手がけています。
曲順、収録曲数、別バージョンなど、CDとは内容が大幅に異なるので、マニアはどちらもゲットしてください。
■OUTRAGE 『THE FINAL DAY』
OUTRAGE 『THE FINAL DAY』 LP (511868-1) / Netherlands / 1991
1991年に発表されたOUTRAGEの4thアルバム『THE FINAL DAY』のアナログ盤。橋本直樹さん(ヴォーカル)、阿部洋介さん(ギター)、安井義博さん(ベース)、丹下眞也さん(ドラム)のサイン入りです。
ジャーマン・メタル界の重鎮、ACCEPTの黄金期を支えたドラマーとして知られるステファン・カウフマンをプロデューサーに迎え、ドイツのダークス・スタジオで録音された本作は、彼らのターニングポイントとなった最重要作。リードトラックの「My Final Day」は、ライブで一番の盛り上がりを見せる人気曲です。
なお『THE FINAL DAY』をレコードで聴くことができるのは、今回掲載したオランダ盤LPのみ。
■COCOBAT 『I versus I』
COCOBAT 『I versus I』 LP (fist of fury-3 / 3825-P) / Japan / 2000
1999年に発表されたCOCOBATの5thアルバム『I versus I』(アナログ盤は2000年発売)。
プロデュースを担当したのは、フレミング・ラスムッセン。METALLICAの『RIDE THE LIGHTNING』(1984年)、『MASTER OF PUPPETS』(1986年)、『…AND JUSTICE FOR ALL』(1988年)を手がけた巨匠です。
本作がレコーディングされたのは、スウィート・サイレンス・スタジオ。METALLICAやRAINBOW、チェット・ベイカーといった大物アーティストも使用したデンマークの名門スタジオです。
■SWITCH STYLE 『METRONOME』
SWITCH STYLE 『METRONOME』 LP (ST03) / Japan / 1998
1998年に発表されたSWITCH STYLEのメジャーデビューアルバム『METRONOME』。SWITCH STYLEは、株式会社スタートトゥデイの前澤友作氏がドラムを叩いていたバンドです。
本作のプロデュースを担当しているのは、ハードコアの名盤を数多く手がけているドン・フューリー。COCOBATも4thアルバム『RETURN OF GRASSHOPPER』(1996年)制作時に、彼を起用しています。
そしてGORILLA BISCUITS『START TODAY』(1989年)も、ドン・フューリーがプロデュースした作品です。株式会社スタートトゥデイの社名は、このアルバムのタイトル曲が由来とのこと。
■Hi-STANDARD 『GROWING UP』
Hi-STANDARD 『GROWING UP』 LP (POD-003) / Japan / 1995
ハイスタことHi-STANDARDが1995年にリリースした『GROWING UP』。前年発表されたミニアルバム『LAST OF SUNNY DAY』(1994年)に続いて制作された初のフルアルバムです。
彼らと共にプロデューサーとしてクレジットされているのは、ライアン・グリーンとファット・マイク。
ライアン・グリーンは、数多くのパンク・バンドのみならず、MEGADETHやジェイ・Z、パティ・ラベルといった多岐にわたる音楽プロジェクトに携わるプロデューサー/エンジニアです。
ファット・マイクはNOFXのベース&ヴォーカル担当で、Fat Wreck Chordsのオーナー。『GROWING UP』のUS盤も、Fat Wreck Chordsからリリースされています。
90年代に一大ブームを巻き起こすも、主催フェス『AIR JAM 2000』終了後から活動を休止していたハイスタが、東日本大震災復興支援を目的とした『AIR JAM 2011』の開催と共に再始動。
2017年には、18年ぶりのフルアルバム『THE GIFT』をリリース。今後の活動も期待されていました。しかし・・・。
2023年2月14日、ドラマーの恒岡章さんがご逝去されました。横山健氏と難波章浩氏はHi-STANDARDとしての活動を続けるようですが、3人そろったハイスタを観ることはもうできません。
90年代半ばから、ハイスタが活動を休止する2000年まで、同年齢のツネちゃんとはライブハウスでよく顔を合わせていました。
謹んで哀悼の意を表します。安らかに。
執筆:五辺宏明