特殊ジャケット！～遊びごころ満載のレコードジャケット

「レコード」という単語を聞いて想像するのは、どんな形状でしょうか？

おそらく大半の方が黒い円盤と、それを入れる四角いジャケットを思い浮かべると思います。

実際に多くのレコードが、紙でできた正方形のジャケットに収められていることは、皆さんご存じの通り。しかし、中には特殊ジャケットや変形ジャケットと呼ばれるイレギュラーなものが存在します。

広げるとポスターになるものや、ジャケットの表面にエンボス（浮き出し）加工が施されたものなど、遊びごころ満載の特殊ジャケットからレコードを取り出すたびに、思わず顔がほころんでしまいます。

レコードコレクターの皆さまには、この気持ちをわかっていただけるのではないかと。

しかし、それらの特殊ジャケットは嬉しい反面、変形部分が破損してしまうことがあります。

こちらをご覧ください。

CURTIS MAYFIELD 『SUPER FLY』 US press LP (CRS 8014-ST) - 1972

1972年に公開された映画『スーパーフライ』のサウンドトラックとして制作された、カーティス・メイフィールドの代表作。

70年代にアフリカ系アメリカ人をターゲットに制作されたブラックスプロイテーションと呼ばれる映画のサントラは、音楽的にも優れたものが多く、中でも『SUPER FLY』は評価の高い作品です。

次の画像をご覧ください。

タイトルロゴとキャストの部分がトリミングされていて、開くとレコードを取り出すことができます。

残念なことに、私が入手した『SUPER FLY』のLPは、こちらの部分が破れていました。

（その分、お手頃価格で買えたわけですが）

「探していた特殊ジャケットのアルバムを、中古レコード店で見つけて喜んだのも束の間。状態を確認してみたらボロボロでがっかり・・・」

レコードコレクターの皆さま、こんな経験ありますよね。

・ジャケットからレコードを取り出すとき。

・ビニールの外袋にしまうとき。

・レコード棚にしまうとき。

特殊ジャケットを扱うときには、細心の注意を払わなければなりません。

そもそも、手間のかかる加工を施す特殊ジャケットは限定生産されるものが多く、2ndプレス以降は通常の正方形ジャケットで販売されることもあります。

傷みやすく、生産数が少ない特殊ジャケット盤は、状態が良いものであれば査定額が上がるかもしれません。

人気の高い特殊ジャケット作品を手放す際には、MIONアップサイクルにご連絡ください！

型抜きタイプの特殊ジャケット

■NUCLEUS

NUCLEUS 『ELASTIC ROCK』 Japan press LP (SFX-7259) - 1970

ジャズ・トランペッターのイアン・カーが結成したイギリスのジャズロック・バンド、NUCLEUSが1970年にリリースした1stアルバム。

Vertigo Recordsから発売されたUKオリジナル盤は高値で取引されていますが、フィリップスレコード／日本フォノグラムから出た帯付きの国内盤LPも人気です。

この国内盤は、UKオリジナル盤と同様の穴あき特殊ジャケット。

このような穴開きタイプの特殊ジャケットも、破損しやすいので気をつけましょう。

■ALICE IN CHAINS

ALICE IN CHAINS 『Them Bones』 UK press 12” (659090 6) - 1993

90年代オルタナティヴロック・シーンを牽引したALICE IN CHAINSの4曲入り12インチ。

A面は、2ndアルバム『DIRT』（1992年）のトップを飾る「Them Bones」と、1stアルバム『FACELIFT』（1990年）の人気曲「We Die Young」。

B面の「Got Me Wrong」と「Am I Inside」は、2nd EP『SAP』（1992年）の収録曲です。

牛の頭部をかたどった穴あきの特殊ジャケット。角の部分を破ってしまう可能性があるので、レコードをしまう際は慎重に。

なお、ラベルに描かれたskull iconを手掛けたのは、2002年に逝去した初代ヴォーカリストのレイン・ステイリーです。

■A TRIBE CALLED QUEST

A TRIBE CALLED QUEST 『Bonita Applebum』 UK press 7” (JIVE Z 256) - 1991

伝説のヒップホップ・グループ、A TRIBE CALLED QUESTが1990年に発表した1stアルバム『PEOPLE’S INSTINCTIVE TRAVELS AND THE PATHS OF RHYTHM』からシングルカットされたUK盤7インチ。

ロゴが型抜きになっている特殊ジャケットなので、万全の注意を払う必要があります。

しかし、残念ながら私が所有するものは「I」と「B」に傷みが・・・。

（写真だとわかりにくいと思いますが）

入手したとき、既に「B」の一部が破れていました。皆さまもご注意ください。

飛び出す絵本のような特殊ジャケット

■DEAD OR ALIVE

DEAD OR ALIVE 『You Spin Me Round (Like a Record)』 Japan press 7” (07・5P-365) - 1985

全英チャート1位を獲得したDEAD OR ALIVEの代表曲「You Spin Me Round (Like a Record)」（1984年）。

こちらはUK盤がリリースされた翌年に出た国内盤7インチです。

見開きジャケット（ゲートフォールド）を広げると、ヴォーカリストのピート・バーンズが登場！

こちらは「pop-up gatefold sleeve」と呼ばれるタイプの特殊ジャケットです。本を開くと折りたたまれた絵が飛び出てくるポップアップ絵本（飛び出す絵本）と同じギミックですね。

■COCOBAT

COCOBAT 『I versus I』 Japan press LP (fist of fury-3 / 3825-P) - 2000

国内ラウドミュージック・シーンの先駆的存在として活動を続けるCOCOBATが、1999年にリリースした5thアルバム『I versus I』。アナログ盤は2000年に発売されました。

ジャケットを広げると、ココクロックという怪獣が飛び出します。

なお、本作はPUSHEADがアートワークを担当。METALLICAやMISFITS、PRONG等、数多くのジャケットを手掛けている人気アーティストです。

他にも、名曲「Aqua Boogie (A Psychoalphadiscobetabioaquadoloop)」を収録したPARLIAMENTの『MOTOR-BOOTY AFFAIR』（1978年）や、FLYING LOTUSが2019年に発表した『FLAMAGRA』など、飛び出す絵本のような特殊ジャケット作品は数多く存在します。

ザ・ローリング・ストーンズの特殊ジャケット

■『THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST』

THE ROLLING STONES 『THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST』 UK press LP (TXS 103) - 1967

THE ROLLING STONESが1967年に発表した初のセルフプロデュース作品『THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST』。

こちらは、かまぼこ型の凸レンズの特性を利用することで立体的に見えたり、絵柄が変化しているように見えたりする3Dレンチキュラー・ジャケット。サイケデリックで実験的なサウンドを見事に表現した素晴らしいアートワークです。

画像をご覧ください。

見る角度によって、メンバーの顔の向きが変わります。

■『STICKY FINGERS』

ストーンズの特殊ジャケットといえば、アンディ・ウォーホルがアートワークを手掛けたこのアルバム。

THE ROLLING STONES 『STICKY FINGERS』 US press LP (COC 59100) - 1971

世界的な大ヒットを記録したTHE ROLLING STONESの名盤『STICKY FINGERS』（1971年）。US盤です。

記事の冒頭に掲載した八角形ジャケットのベストアルバム『THROUGH THE PAST, DARKLY (BIG HITS VOL. 2)』（1969年）など、ストーンズの特殊ジャケットは他にもありますが、やはりこのLPを外すわけにはいきません。

ジャケットに本物のジッパーが付いていて、実際に開閉できます。

『STICKY FINGERS』は、これまでに2回購入しています。最初に入手したLPのジッパーが開かなくなってしまったので。

今回掲載した2枚目の『STICKY FINGERS』も入手してから20年近く経ちますが、まだ開閉できます。

（この記事を作成中に、中古レコード店で「検盤させてください」といいながら何度もジッパーを上下させていたことを思い出しまた。冷静に考えると間抜けな話ですね）

ジャケットに付いているジッパーの開閉動作なんて、音楽を聴く上で何ひとつ関係ありません。しかし、こういったことを重要視するのは私だけではないはず。

場合によっては、同じ初期プレスの『STICKY FINGERS』でも、ジッパーの動作によって査定額がアップすることがあるかもしれません。

コンディションの良い『STICKY FINGERS』を手放す際には、MIONアップサイクルにぜひご連絡を！

レッド・ツェッペリンの特殊ジャケット

■『LED ZEPPELIN III』

LED ZEPPELIN 『LED ZEPPELIN III』 UK press LP (2401 002) - 1970

1970年に発表されたLED ZEPPELINの3rdアルバム。言わずと知れた歴史的名盤ですね。

「移民の歌」の邦題で知られる1曲目の「Immigrant Song」は、80年代に活躍した故・ブルーザー・ブロディの入場テーマ曲としてゴールデンタイムのプロレス中継で流れていたため、ロックファン以外からも人気の高い曲です。

見開きジャケットの表側に円盤が組み込まれていて、回すとくり抜かれた11ヶ所の丸穴から見える絵柄が変化するギミック。

■『PHYSICAL GRAFFITI』

LED ZEPPELINの特殊ジャケットといえば、こちらも有名です。

LED ZEPPELIN 『PHYSICAL GRAFFITI』 Japan press 2LP (P-5163~4N) - 1975

1975年に発表されたLED ZEPPELINの6thアルバム『PHYSICAL GRAFFITI』の国内盤LP。2枚組の大作です。

インサートを引き抜くと、アルバムタイトルが表示されていた部分が、写真やイラストに変身。

ジャケットの窓の部分がくり抜かれていて、インサートや内袋を差し替えると、窓から見える写真やイラストが変わる仕様になっています。

続いてこちらをご覧ください。

『PHYSICAL GRAFFITI』のモチーフになったという特殊ジャケットのレコードです。

JOSÉ FELICIANO『COMPARTIMENTOS』 Spain press LP (APL1-0141) - 1973

ホセ・フェリシアーノの『COMPARTMENTS』。

私が所有しているものはスペイン盤なので、『COMPARTIMENTOS』というスペイン語のタイトルが使用されています。

こちらのジャケットも、くり抜かれた窓の部分から内袋のイラストが見えます。

1973年にリリースされたアルバムなので、『PHYSICAL GRAFFITI』よりも先ですね。

モーターヘッドの特殊ジャケット

MOTӦRHEAD『NO REMORSE』 Special Leather Edition UK press 2LP (MOTOR 1 / 823 301-1) - 1984

MOTӦRHEADがBronze在籍時代に発表した代表曲の数々に、新曲を加えて編纂された2枚組ベストアルバム『NO REMORSE』。

こちらは限定発売されたレザー・ジャケット仕様のUK盤です。

『STICKY FINGERS』と同様に、このLPも2回購入しました。最初に買ったものがカビだらけになってしまったので・・・。

湿度の高い地域にお住まいの方は、除湿剤などを使用した方が良さそうです。

アンスラックスの特殊ジャケット

■『Got The Time』

ANTHRAX 『Got The Time』 UK press 10” (10 IS 476 / 878 699-0) - 1990

ANTHRAXが1990年にリリースした5thアルバム『PERSISTENCE OF TIME』からシングルカットされた「Got The Time」。ジョー・ジャクソンのカバーですね。

こちらは、限定発売された懐中時計型のUK盤10インチ。

■『In My World』

ANTHRAX 『In My World』 UK press 10” (10 IS 470 / 878 041-0) - 1990

「Got The Time」の次にシングルカットされた「In My World」。B面の「Keep It In The Family」も『PERSISTENCE OF TIME』の収録曲です。

このシングルも、特殊ジャケットの10インチがリリースされました。

ジャケットの上部を回転させると、レコードを取り出すことができます。