映画音楽をレコードで聴こう! 映画ファンも音楽ファンも注目すべきサントラ盤のレコード

目次

この世に「映画鑑賞が趣味」という方は、いったいどれくらい存在するのでしょうか?

 

世界中の人々が、膨大な数の映画を観ていますよね。悔しいけれど、音楽ファンよりも映画ファンの方が多いような気がしています。

 

とはいえ、映画をたくさん観ている方は、知らず知らずのうちに幅広いジャンルの音楽に触れているはず。一口に映画音楽といっても、作品によって使用される音楽が異なるわけです。「好きな映画のDVDやサントラ盤を集めていくうちに、音楽好きになってしまった」なんてことがあるかもしれません。

 

音楽ファンもサントラ盤をきっかけに、それまでよく知らなかったジャンルの楽曲を好きになることがありますよね。そしてサントラ盤を聴き続けていくうちに、映画も観たいと思うようになることも。

 

私が映画のサントラ盤に興味をもつようになったのは、このアルバムです。

■黄金の七人 / 7 UOMINI D’ORO(1965年・イタリア)

ARMANDO TROVAJOLI 『7 UOMINI D’ORO』 LP (GXH 6034) / Japan / 1976

イタリアの巨匠、アルマンド・トロヴァヨーリが音楽を手掛けた犯罪コメディ映画『黄金の七人』(1965年)のサントラ盤LP。

 

本国イタリアで公開された翌年(1966年)に日本でも上映された『黄金の七人』のサントラ盤が、公開当時以上に注目を集めたのは90年代。本作のテーマ曲をフリッパーズ・ギターが引用したことがきっかけとなり、若い世代の音楽ファンが『黄金の七人』のLPを探し求めるようになりました。1992年に復刻された国内盤LPを購入した方も多いのではないでしょうか。

 

私も最初に買ったのは1992年の復刻盤で、後に発売された映画のDVDも入手しました。

 

今回掲載したのは、1976年に発売された国内盤LP。キングレコード傘下のセブン・シーズ・レコードから「永遠のサウンドトラック・エリートシリーズ」の中の1枚としてリリースされたものです。

 

帯を付けるとジョルジャ役を演じたロッサナ・ポデスタが隠れてしまうので、普段は外してジャケットの中に入れて保管しています。ロッサナが隠れぬよう、通常とは反対側(レコードを入れる側)に帯を付けるとこんな感じ。

横浜レコードのサイトに掲載された7インチの記事に、日本で劇場公開された当時の国内盤シングルや、2009年発売の復刻盤を掲載しているので、そちらもぜひご覧ください。

渋谷系アーティストの愛聴盤や、選曲家の橋本徹によって発行された『Suburbia Suite』誌で紹介された作品が続々とCD化され、アナログ盤も再発。音楽ファンの間で60年代のサントラ盤を聴くことが、ちょっとしたブームになっていたように思います。

■バーバレラ / BARBARELLA(1968年・イタリア/フランス/アメリカ)

THE BOB CREWE GENERATION ORCHESTRA 『BARBARELLA』 LP (DY 31908) / US / 1968

当時人気があったサントラ盤の中で、真っ先に浮かんできたのがこのレコード。1968年に公開されたジェーン・フォンダ主演のSF映画『バーバレラ』のサントラ盤LPです。

 

『バーバレラ』の監督はロジェ・ヴァディム。映画が公開された当時、ジェーン・フォンダと結婚していた方ですね。

■UP THE JUNCTION(1968年・イギリス)

MANFRED MANN 『UP THE JUNCTION』 LP (TL5460) / UK / 1968

ブリティッシュビート・バンドとして知られるMANFRED MANNが音楽を手掛けた『UP THE JUNCTION』(1968年)のサントラ盤LP。こちらも、当時よく聴いていたレコードです。

 

日本で公開されなかった映画のサントラ盤ですが、ソフト・ロックやモッド・ジャズが聴ける作品として人気がありました。

 

ジャケットに書き込まれているのは、MANFRED MANNのマイク・ハグ(ドラム、キーボード)とマイク・ダボ(ヴォーカル、キーボード)のサイン。2012年にTHE MANFREDSのメンバーとして来日した際に、お会いすることができました。

 

名作映画のサントラ盤

■猿の惑星 / PLANET OF THE APES(1968年・アメリカ)

JERRY GOLDSMITH 『PLANET OF THE APES』 promo LP (PR5023SD) / US / 1968

1968年に公開されたSF映画の金字塔『猿の惑星』。

 

ハリウッド映画音楽界の巨匠、ジェリー・ゴールドスミスが手掛けたサントラ盤は、映画と同様に評価が高く、1999年にニュー・プリント/新訳版の『猿の惑星』がリバイバル上映された際には、13曲入りの国内盤LPが発売されています(オリジナル盤は10曲入り)。

 

このレコードを聴くたびに、数々の名シーンが浮かんできます。ビデオデッキが一般家庭に普及していなかった時代は、サントラ盤を聴いて劇場で観た映像を思い起こしていたのでしょうね。

 

なお、今回掲載したLPは、放送局やDJに配布するために制作されたプロモーション用のレコードです。白いラベルに「PROMOTION COPY NOT FOR SALE」と記載されているので、画像をご覧ください。

 

ジャケットの上部にも、DJ用のレコードであることを示すシールが貼られています。

プロモーション用などの非売品レコードを紹介しているこちらの記事もぜひ!

■スター・トレック / STAR TREK: THE MOTION PICTURE(1979年・アメリカ)

JERRY GOLDSMITH 『STAR TREK: THE MOTION PICTURE』 LP (25AP 1752) / Japan / 1979

こちらもジェリー・ゴールドスミス作品。1979年に公開された『スター・トレック』劇場版第1作のサントラ盤LPです。

 

1966年にテレビ放送が始まって以来、数多くの映画やテレビシリーズ、アニメが制作され、今なお高い人気を誇る『スタートレック』(※)。

 

2017年にスタートした6作目のドラマシリーズ『スタートレック:ディスカバリー』以降は映像ストリーミングによる配信となっていて、2022年5月5日から新シリーズ『STAR TREK: STRANGE NEW WORLDS』が米Paramount+にて配信が開始されます(日本での配信は未定)。

 

 

※『STAR TREK』の邦題は『スター・トレック』(中黒あり)と『スタートレック』(中黒なし)のふたつの表記が混在しています。

■羊たちの沈黙 / THE SILENCE OF THE LAMBS(1991年・アメリカ)

HOWARD SHORE 『THE SILENCE OF THE LAMBS』 LP (MCA 10194) / Europe / 1991

1991年に公開された『羊たちの沈黙』。第64回アカデミー賞で主要5部門を受賞したアメリカ映画史に残る名作です。

 

五本の指に入るくらい好きな映画なので、サントラ盤のLPも欲しいと思っていましたが、CDで音楽を聴くことが主流となっていた90年代に出たレコードなので、なかなか見つからず・・・。入手するのに10年以上かかりました。

ジャズのサントラ盤

■死刑台のエレベーター / ASCENSEUR POUR L’ÉCHAFAUD(1958年・フランス)

MILES DAVIS QUINTET 『ASCENSEUR POUR L’ECHAFAUD』 7”EP (SFON-3008) / Japan / 19??

フランス映画界の巨匠、ルイ・マルの長編監督単独デビュー作『死刑台のエレベーター』(1958年)。

 

マイルス・デイヴィスがラッシュ・フィルム(編集前の映像)を観ながら即興で音楽を完成さたというサントラ盤は、ジャズの名盤として知られています。

 

メンバーはマイルス・デイヴィス(トランペット)、バルネ・ウィラン(テナーサックス)、ルネ・ユルトルジェ(ピアノ)、ピエール・ミシュロ(ベース)、ケニー・クラーク(ドラム)。

 

今回掲載したのは、5曲入りの7インチ。正確な発売年月日は不明です。1979年発売の国内再発盤LPも所有しておりますが、こちらのジャケットの方がカッコいいので。

■LES STANCES À SOPHIE(1970年・フランス/カナダ)

ART ENSEMBLE OF CHICAGO 『LES STANCES A SOPHIE』 LP (n-4) / US / 1978 Repress

1970年に公開されたフランス・カナダ合作のカルト映画『LES STANCES À SOPHIE』のサントラ盤LP。

 

私が所有しているのは、1978年発売のUSリプレス盤。残念ながら、1970年に出た仏オリジナル盤(2C 062-11.365)や、翌年(1971年)リリースされたUS初版(N-4)は入手できておりません。

 

アルバムの冒頭に収録されたスピリチュアルなジャズ・ファンク「Theme de Yoyo」を歌っているのは「Rescue Me」のヒットで知られるフォンテラ・バス。ART ENSEMBLE OF CHICAGOのトランペッター、レスター・ボウイの当時の奥さまですね。

■恋のゆくえ ~ファビュラス・ベイカー・ボーイズ / THE FABULOUS BAKER BOYS(1989年・アメリカ)

DAVE GRUSIN 『THE FABULOUS BAKER BOYS』 LP (GR-2002) / US / 1989

ミシェル・ファイファーがジャズ・ヴォーカリストを演じた『恋のゆくえ ~ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』(1989年)。監督は『ハリー・ポッター』シリーズの脚本を執筆しているスティーヴン・クローヴスです。

 

音楽を手掛けているのは、プロデューサー/鍵盤奏者のデイヴ・グルーシン。サントラ盤は、フュージョン/アダルト・コンテンポラリーの名門レーベルとして知られるGRP Recordsからリリースされています。同レーベルを設立したのは、デイヴ・グルーシンと音楽プロデューサーのラリー・ローゼン。GRPは「Grusin-Rosen Productions」の頭文字です。

 

ミシェル・ファイファーが歌う「Makin’ Whoopee」と「My Funny Valentine」が収録されているので、ファンはお聴き逃しなく。

 

なお、昨年(2021年)韓国のSound Treeからリマスター180g重量盤LP(フランス・プレス)が再発されています。国内はGlobal Culture Agencyを介してのみの流通とのこと。気になる方はチェックしてみてください。

ブラックスプロイテーションのサントラ盤

ブラックスプロイテーションというジャンルの映画をご存じでしょうか?

 

70年代前半、アフリカ系アメリカ人をターゲットにしたブラックスプロイテーションと呼ばれる映画がアメリカで制作されていました。音楽的にも優れたものが多く、それらのサントラ盤はソウルやレアグルーヴのリスナーの間で高い人気を誇っています。

■黒いジャガー アフリカ作戦 / SHAFT IN AFRICA(1973年・アメリカ)

JOHNNY PATE 『SHAFT IN AFRICA』 LP (IPP-80871) / Japan / 1973

世界中のB-Boyを虜にしたファンク・クラシック「Shaft in Africa (Addis)」を収録した『黒いジャガー アフリカ作戦』(1973年)のサントラ盤LP。帯付きの国内盤です。

 

『SHAFT』シリーズのサントラ盤といえば、アイザック・ヘイズが音楽を担当した1作目も名盤として知られていますが、個人的によく聴くのはこちらですね。

 

タイトル曲はもちろん、アルバムのトップを飾る「You Can’t Even Walk in the Park (Opening Theme)」や、THE FOUR TOPSが歌う「Are You Man Enough? (Main Title)」も必聴です。

■黒帯ドラゴン / BLACK BELT JONES(1974年・アメリカ)

DENNIS COFFEY 『Theme from Black Belt Jones』 promo 7” (WB 7769) / US / 1974

こちらもクラシックですね。1974年に公開された『BLACK BELT JONES』のテーマ曲。白ラベルのプロモーション用7インチです。

 

邦題は『黒帯ドラゴン』。主演は『燃えよドラゴン』でウィリアムス役を演じたジム・ケリーです。

■ダイナマイト諜報機関 クレオパトラ危機突破 / CLEOPATRA JONES(1973年・アメリカ)

J.J. JOHNSON / JOE SIMON / MILLIE JACKSON 『CLEOPATRA JONES』 LP (BS 2719) / US / 1973

『Vogue』誌のファッションモデルを務めたタマラ・ドブソンが、麻薬秘密捜査官のクレオパトラ・ジョーンズを演じた『ダイナマイト諜報機関 クレオパトラ危機突破』(1973年)。

 

ジャズ・トロンボーン奏者/アレンジャーのJ・J・ジョンソンや、ソウルシンガー/プロデューサーのジョー・サイモンといったミュージシャが音楽を担当したサントラ盤も人気が高く、近年も復刻盤LPが発売されています。

■コフィー / COFFY(1973年・アメリカ)

ROY AYERS 『COFFY』 promo LP (PD-5048) / US / 1973

1973年に公開された“The Queen of Blaxploitation”パム・グリアの初主演作品『コフィー』。監督のジャック・ヒルは、本作以前の作品にもパム・グリアを起用しています。

 

ヴァイブラフォン奏者のロイ・エアーズが手掛けたサントラ盤は、世界中のレアグルーヴ・ファンから愛される大名盤。「Coffy Baby」と「Coffy Is the Color」にヴォーカリストとしてクレジットされているDenise Bridgewaterは、後にグラミー賞を獲得するジャズ・シンガーのディー・ディー・ブリッジウォーターです。

 

私が所有しているLPは、白ラベルのプロモ盤。ロイ・エアーズのサイン入りです。

■フォクシー・ブラウン / FOXY BROWN(1974年・アメリカ)

WILLIE HUTCH 『FOXY BROWN』 LP (M6-811S1) / US / 1974

1974年に公開された『フォクシー・ブラウン』。前年公開された『コフィー』と並ぶパム・グリアの代表作です。こちらもジャック・ヒル監督作品ですね。

 

音楽を担当したのは、シンガーソングライター/プロデューサーのウィリー・ハッチ。テーマ曲は、ブラックスプロイテーションの中でもトップレベルのカッコよさ。

 

長らく海外版のVHSでしか観ることができなかった『フォクシー・ブラウン』が、国内で初めて上映されたのは、2002年の『東京国際ファンタスティック映画祭』。そして、2013年に角川書店から国内版DVDが発売。マニアを歓喜させたのであります。

タランティーノの名作『ジャッキー・ブラウン』のサントラ盤

■ジャッキー・ブラウン / JACKIE BROWN(1997年・アメリカ)

V.A. 『JACKIE BROWN』 LP (9 46841-1 / 1-46841) / US / 1997

映画のサントラ盤といえば、クエンティン・タランティーノの作品も外せません。

 

大ヒットを記録した『レザボア・ドッグス』や『パルプ・フィクション』『キル・ビル』といったタランティーノ作品のサントラ盤の中から、今回紹介するのは『ジャッキー・ブラウン』(1997年)。お察しのとおり、パム・グリアつながりです。

 

エルモア・レナードが1992年に上梓した小説『ラム・パンチ』を、タランティーノが映画化した『ジャッキー・ブラウン』。原作の主人公はジャッキー・バークという白人女性ですが、タランティーノが少年時代から憧れていたパム・グリアを主役に起用するために設定を変え、役名もジャッキー・ブラウンに変更。もちろん『フォクシー・ブラウン』のオマージュです。

 

タランティーノが選んだ楽曲で構成されたサントラ盤には、カントリー・シンガーのジョニー・キャッシュや、女性ラッパーのフォクシー・ブラウン(この人選もお見事ですね)の曲も収録されていますが、メインは70年代ソウル。ミニー・リパートン「Inside My Love」やTHE DELFONICS「Didn’t I (Blow Your Mind This Time)」、THE BROTHERS JOHNSON「Strawberry Letter 23」といった名曲を聴くことができます。

 

パム・グリアが歌う「Long Time Woman」が収録されているのも、ファンとして嬉しい限り。彼女が出演している『残酷女刑務所』(1971年、原題『THE BIG DOLL HOUSE』)のオープニング曲です。マニアックな選曲ですね。ちなみに『残酷女刑務所』もジャック・ヒル監督作品です。

 

『ジャッキー・ブラウン』のサントラ盤には、他にも過去の映画音楽が収録されています。

■110番街交差点 / ACROSS 110th STREET(1972年・アメリカ)

BOBBY WOMACK / J.J. JOHNSON 『ACROSS 110th STREET』 / LP (UAS-5225) / US / 1972

1972年に公開された『110番街交差点』のサントラ盤LP。『ジャッキー・ブラウン』のメインテーマに起用された「Across 110th Street」は、本作のトップを飾るボビー・ウーマックの名曲です。

 

ちなみにパム・グリアは、ボビー・ウーマックの『COMMUNICATION』(1971年)と『UNDERSTANDING』(1972年)にヴォーカリストとして参加しています。レコードをお持ちの方は、クレジットを確認してみてください。

■ヴァンピロス・レスボス / VAMPYROS LESBOS(1971年・西ドイツ/スペイン)、他

MANFRED HÜBLER & SIEGFRIED SCHWAB 『VAMPIROS LESBOS: SEXADELIC DANCE PARTY』 LP (CDHW 022) / Germany / 1995

「The Lions and the Cucumber」が収録されているは、このアルバムです。

 

ジェス・フランコ監督が1971年に発表した3作品『ヴァンピロス・レスボス』『シー・キルド・イン・エクスタシー』『恍惚の悪魔 アカサヴァ』の劇伴を集めたコンピレーション・アルバム『VAMPIROS LESBOS: SEXADELIC DANCE PARTY』(1995年)。インサートには「3本の映画を撮った直後にカークラッシュで命を落としたソレダッド・ミランダに捧げる」と記されています。

 

音楽ファンの間では人気の高い作品で、リリース当時、レコード店もプッシュしていた印象があります。多くの店舗が、ソレダッド・ミランダの美しいジャケットが見えるように陳列していました。いわゆる「面出し」ですね。

 

なお、1995年にドイツのCrippled Dick Hot Wax!から発売されたLPには、映画の英語タイトルである『VAMPIROS LESBOS』が使用されていますが、CDや再発LPにはドイツ語タイトルの『VAMPYROS LESBOS』が採用されているようです。

オムニバス・アルバムとして聴くことができるサントラ盤

■硝子の塔 / SLIVER(1993年・アメリカ)

V.A. 『SLIVER』 LP (788287-1) / Brazil / 1993

1993年に公開されたシャロン・ストーン主演の官能サスペンス『硝子の塔』のサントラ盤LP。MASSIVE ATTACKやUB40、シャギー、ネナ・チェリーといったアーティストが参加しています。

 

注目すべきは、3曲提供しているENIGMA。「Principles of Lust (Radio Edit)」は1stアルバム『MCMXC a.D.』(1990年)の収録曲ですが、「Carly’s Song」と「Carly’s Loneliness」は書き下ろし。「Carly’s Song」は、テレビCMにも起用された「Age of Loneliness」の原曲です。

 

本作のようにオムニバス・アルバムとして聴くことができるサントラ盤は、なじみの薄いジャンルの音楽を知るきっかけになることがあるので、積極的に購入していた時期がありました。

 

なお、私が所有しているのはブラジル盤LP。世界最大の音楽データベースサイトとして知られるDiscogsによると、コロンビアとギリシャからもアナログ盤が発売されているようです。

■ジャッジメント・ナイト / JUDGMENT NIGHT(1993年・アメリカ)

V.A. 『JUDGMENT NIGHT』 LP (474183 1) / Europe / 1993

1993年に公開されたアクション映画『ジャッジメント・ナイト』のサントラ盤LP。ロック・バンドとヒップホップ・グループのコラボ曲で構成されたサントラ盤は、映画以上に話題を呼びました。

 

先行シングルとしてリリースされたHELMET & HOUSE OF PAIN「Just Another Victim」、そしてSLAYERとアイス-TによるTHE EXPLOITEDのメドレー「Disorder」が強烈です。

■ハイスクール・ハイ / HIGH SCHOOL HIGH(1996年・アメリカ)

V.A. 『HIGH SCHOOL HIGH - THE SOUNDTRACK』 / 2LP (92709-1) / US / 1996

1996年に公開された『ハイスクール・ハイ』のサントラ盤2LP。WU-TANG CLANのメンバーやKRS・ワン、ラージ・プロフェッサー、ピート・ロック、フェイス・エヴァンス、A TRIBE CALLED QUEST、DE LA SOULといったヒップホップ/R&B界の錚々たる面々が名を連ねています。ジャケットをご覧ください。

 

マーヴィン・ゲイとタミー・テレルの名曲を、ディアンジェロとエリカ・バドゥがリメイクした「Your Precious Love」をはじめ、秀作ぞろいのオムニバス・アルバムとして愛聴しています。

■ロミオ・マスト・ダイ / ROMEO MUST DIE(2000年・アメリカ)

V.A. 『ROMEO MUST DIE - THE ALBUM』 2LP (7243 8 49052 1 7) / US / 2000

2000年に公開された『ロミオ・マスト・ダイ』のサントラ盤2LP。ジェット・リーと共に主役を務めたアリーヤを筆頭に、DMXやマック10、DESTINY’S CHILDといったヒップホップ/R&Bアーティストが参加しています。

 

この映画でスクリーンデビューを果たし、主題歌の「Try Again」をヒットさせたアリーヤに、悲劇が訪れたのは翌年(2001年)8月25日。飛行機墜落事故により、22年というあまりにも短い生涯を終えたのです。残念でなりません。

 

アリーヤのレコードをこちらの記事で紹介しているので、ご覧いただけましたら幸いです。

大ヒット映画のシングル盤

最後は大ヒット作のシングル盤を紹介します。『猿の惑星』や『羊たちの沈黙』といった超メジャー作品を交えながらも、若干マニアックな映画のサントラ盤が多かったような気がしますので。

(音楽ファンにとってはむしろ、なじみ深いサントラ盤ばかりだったと思いますけど)

■時計じかけのオレンジ / A CLOCKWORK ORANGE(1971年・イギリス/アメリカ)

WALTER CARLOS 『March from “A Clockwork Orange”』 7” (P-1109W) / Japan / 1972

1971年に公開されたスタンリー・キューブリック監督作品『時計じかけのオレンジ』。アンソニー・バージェスが1962年に上梓した小説を映画化した名作中の名作ですね。

 

A面の「March from “A Clockwork Orange”」は、シンセサイザーとヴォコーダーでベートーヴェンの「交響曲第9番」を演奏したものです。

 

『時計じかけのオレンジ』の音楽を手掛けたシンセサイザー奏者のウォルター・カルロスは、1972年に男性から女性への性別適合手術を行い、ウェンディ・カルロスと改名。翌年発表されたジョアン・ジルベルトのセルフタイトル作『JOÃO GILBERTO』(邦題『3月の水』)のレコーディング・エンジニアを務めています。

 

■燃えよドラゴン / ENTER THE DRAGON(1973年・香港/アメリカ)

LALO SCHIFRIN 『Theme from Enter the Dragon』 7” (P-1264W) / Japan / 1973

全世界にカンフー・ブームを巻き起こした『燃えよドラゴン』(1973年)。説明不要の大ヒット作です。

 

音楽を担当したのは『ダーティハリー』や『スパイ大作戦』の作曲家として知られるラロ・シフリン。ジャッキー・チェン主演の『バトルクリーク・ブロー』の音楽を手掛けているのもラロ・シフリンですね。

 

ちなみに、7インチのジャケット中央(ブルース・リーの上)に描かれているアフロヘアーの男性が『黒帯ドラゴン』主演のジム・ケリーです。

■トップガン / TOP GUN(1986年・アメリカ)

BERLIN 『Take My Breath Away (Love Theme from "Top Gun")』 7” (04SP 985) / Japan / 1986

1986年に公開された『トップガン』の挿入歌「Take My Breath Away (Love Theme from “Top Gun”)」の国内盤7インチ。「愛は吐息のように」の邦題で知られる大ヒット曲です。

 

こちらは、片面だけに溝が刻まれているワンサイド・シングル。当時、CBS・ソニーやEPIC・ソニーから、このような1曲だけ収録された洋楽シングルが400円で販売されていました。

■ターミネーター2 / TERMINATOR 2: JUDGMENT DAY(1991年・アメリカ)

GUNS N’ ROSES 『You Could Be Mine』 7” (GFS 6) / UK / 1991

1991年に公開された『ターミネーター2』の主題歌「You Could Be Mine」のUK盤7インチ。

 

「You Could Be Mine」は、同年9月に発表されたGUNS N’ ROSESの3rdアルバム『USE YOUR ILLUSION II』にも収録されています。2ndアルバム『USE YOUR ILLUSION I』と2枚同時に発売されて話題を呼んだ名盤ですね。

 

この曲を聴くたびに、2年連続で観たGUNS N’ ROSESの東京ドーム公演の光景が脳裏に浮かんできます(1992、1993年)。30年前の記憶を一瞬で呼び戻せるのですから、レコードって本当に良いものですね。

(2008年に逝去された映画評論家の水野晴郎さん風に締めてみました)

 

 

 

執筆:五辺宏明

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