海外で発売された日本人アーティストのレコード

 

レコード愛好家の皆さま、こんにちは!

レコードに興味があって、当コラムをのぞいてくださった音楽ファンの皆さま、初めまして!

2022年7月20日に公開された記事で、欧米やアジアで人気の高い日本人アーティストの作品を中心に、和モノやシティ・ポップのレコードを紹介しました。

 

 

そちらの記事では日本で生産されたレコード(いわゆる国内盤)を取り上げましたが、日本人アーティストの作品が海外のレーベルから発売されるケースもたくさんあります。

目次

■PIZZICATO FIVE 『MADE in USA』

PIZZICATO FIVE 『MADE in USA』 LP (OLE 099-1) / US / 1994

 

渋谷系を代表するアーティストとして知られるピチカート・ファイヴが、欧米でも高い人気を誇っていたことをご存じの方も多いことでしょう。

 

こちらは、1994年にアメリカのMatador Recordsからリリースされたコンピレーション・アルバム『MADE in USA』のアナログ盤です。小西康陽さんと野宮真貴さんのサイン入り。

 

「Sweet Soul Revue」や「Magic Carpet Ride」「Twiggy Twiggy / Twiggy vs. James Bond」「きみになりたい」といった名曲を収録した本作は、全世界で20万枚以上の売り上げを記録しています。

 

ピチカート・ファイヴといえば、こんなコンピがありました。

 

■V.A. 『SUSHI 4004 - THE RETURN OF SPECTACULAR JAPANESE CLUBPOP』

V.A. 『SUSHI 4004 - THE RETURN OF SPECTACULAR JAPANESE CLUBPOP』 LP (bung 036) / Germany / 1998

 

ピチカート作品のメガミックス「Lesson 3003 (Part 1)」を収録した『SUSHI 4004 – THE RETURN OF SPECTACULAR JAPANESE CLUBPOP』(1998年)。カヒミ・カリィや砂原良徳、Fantastic Plastic Machineといった日本人アーティストの楽曲を収録したオムニバス・アルバムです。

 

ドイツのBungalowから1996年にリリースされた『SUSHI 3003 – A SPECTACULAR COLLECTION OF JAPANESE CLUBPOP』の続編で、レーベルを主宰するDJチームのLE HAMMOND INFERNOが選曲を担当しています。

 

個人的に推薦しておきたい曲は、TUCKERがMan from electone名義で発表した「K2」。このコンピだけに収録された曲なので、気になる方は探してみてください。

 

海外で発売された日本人ジャズ・ミュージシャンのレコード

 

ということで今回は、海外で発売された日本人アーティストのレコードを紹介いたします。ジャンルごとに名作を選んでみましたので、お付き合いください。

 

まずは、日本人ジャズ・ミュージシャンの作品から。

 

■TERUMASA HINO 『TARO’S MOOD』

TERUMASA HINO 『TARO’S MOOD』 LP (2028 ST) / Germany / 1973

 

ドイツのEnja Recordsが制作した日野皓正クインテットのライブ盤。1973年6月29日にミュンヘンのジャズ・クラブで録音された3曲が収録されています。メンバーは日野皓正(トランペット)、益田幹夫(ピアノ)、池田芳夫(ベース)、日野元彦(ドラム)、今村祐司(パーカッション)。

 

ドイツ盤LPが発売された翌年(1974年)に、日本とアメリカでもリリースされた傑作ライブ・アルバムです。

 

■MASABUMI KIKUCHI 『SUSTO』

MASABUMI KIKUCHI 『SUSTO』 LP (FC 37372) / US / 1981

 

日本を代表するジャズ・ピアニストの菊地雅章(きくちまさぶみ)が1981年に発表した『ススト』のUS盤LP(Columbia Records)。同時期にCBS・ソニーから日本盤も発売されています。

 

日野皓正やスティーヴ・グロスマン(サックス)、デイヴ・リーブマン(サックス)、アイアート・モレイラ(パーカッション)といった凄腕ミュージシャンを起用した『ススト』は、ジャズの枠を超越した大傑作。若い世代のリスナーにもぜひ聴いていただきたい名盤です。

 

■SOIL & “PIMP” SESSIONS 『A.I.E』

SOIL & “PIMP” SESSIONS 『A.I.E』 12” (BWOOD024) / UK / 2007

 

自らの音楽を「DEATH JAZZ」と標榜し、ワールドワイドな活躍をみせるSOIL&“PIMP”SESSIONSのUK盤12インチ。社長さん(アジテーター)、タブゾンビさん(トランペット)、丈青さん(ピアノ)、秋田ゴールドマンさん(ベース)、みどりんさん(ドラム)、元メンバーの元晴さん(サックス)のサイン入りです。

 

世界で最も大きな影響力を持つDJとして人気を誇るジャイルス・ピーターソンが主宰するBrownswood Recordingsからのリリース。マシュー・ジョンソン、タイガー・デュラ、ダニュエル・テイトからなるCOBBLESTONE JAZZが手掛けたリミックスと、BASEMENT JAXXやFAZE ACTIONのドラマーとして知られるTuggことネイサン・カランによるエディットを収録しています。

 

ちなみに、この12インチに記載されているバンド名は「SOIL & “PIMP” SESSIONS」表記(スペースあり)。普段、目にする機会が多いのは「SOIL&“PIMP”SESSIONS」表記(スペースなし)の方だと思いますけど。

 

■TAKUYA KURODA 『RISING SON』

TAKUYA KURODA 『RISING SON』 2LP (B002088601) / US / 2014

 

トランペット奏者の黒田卓也が2014年に発表した『RISING SON』。アメリカの名門Blue Note Recordsから初めてリリースされた日本人ミュージシャンのリーダー作として話題を呼んだメジャー・デビュー・アルバムですね。黒田卓也さんのサイン入りです。

 

本作のプロデュースを担当したのは、Blue Note Recordsからアルバムを発表している人気ジャズ・シンガーのホセ・ジェイムズ。アルバム中盤に収録されたロイ・エアーズの名曲「Everybody Loves the Sunshine」のカバーで、歌声も披露しています。

 

海外で発売された国産クロスオーバー/クラブジャズのレコード

■UNITED FUTURE ORGANIZATION 『Jazzin!』

UNITED FUTURE ORGANIZATION 『Jazzin!』 LP (860010-1) / France / 1992

 

国内クラブジャズ・シーンのパイオニア、UNITED FUTURE ORGANIZATIONが1992年にリリースしたコンピレーション・アルバム『Jazzin!』。

 

こちらは、Kind of Grooveから出たフランス盤LPです。ジャケットが秀逸ですね。日本やドイツでも発売された『Jazzin!』は数種類のジャケットが存在しますが、個人的にはこのフランス盤LPが一番好み。

 

イギリス『Echo』誌のジャズ・チャートで1位を獲得した「Loud Minority」や、ロンドンのクラブ・シーンで話題を呼んだ「I Love My Baby (My Baby Loves Jazz)」といった初期名曲を収録した本作は、ヨーロッパでもヒットを記録しています。

 

■MONDO GROSSO 『MONDO GROSSO』

MONDO GROSSO 『MONDO GROSSO』 LP (9003) / Germany / 1993

 

現在は大沢伸一のソロプロジェクトとして知られるMONDO GROSSOが、バンド形態で活動していた時代に発表したセルフタイトル作。「Souffles H」や「Vibe-P-M (Funky Samba Mix)」「Anger (Rhymin’ for Original)」などの人気曲を収録した名盤です。

 

BAHIA SUNSETSやSECRET VIBES、MEN AGAINST COOL、DOUBLE DOWNといったMONDO GROSSO以外のユニットや、シンガーのブレンダ名義の楽曲が収録されているので、コンピレーション的な作品と捉えることもできますが、全ての曲に大沢伸一がかかわっているので、実質的なMONDO GROSSOのデビューアルバムといってよいでしょう。

 

1993年に発表された本作は国内のみならず、ドイツの99 Recordsからもリリースされました。今回掲載したのはドイツ盤LPです。

 

なお、MASTERS AT WORKがリミックスした「Souffles H」の12インチが、ニューヨークのNite Groovesからリリースされ、大ヒットを記録しています。

 

■MONDO GROSSO 『MG4BB / Life』

MONDO GROSSO 『MG4BB / Life』 12” (KSS 1129) / US / 2001

 

1996年から大沢伸一のソロプロジェクトとして再始動したMONDO GROSSOの作品も、海外で発売されています。

 

こちらは、世界25カ国で発売された4thアルバム『MG4』からシングルカットされたUS盤12インチ。ニューヨークのKing Street Soundsからリリースされたもので、タニア・マリアを迎えた「MG4BB」と、3人の女性ヴォーカリストによる「Life」の日本語版(bird)、ポルトガル語版(パウラ・リマ)、英語版リミックス(フェイス)を収録しています。King Street Soundsは、Nite Groovesの姉妹レーベルですね。

 

ジャケットに書き込まれているサインは、大沢伸一さん、birdさん、共同プロデューサーとして『MG4』に参加しているギタリストの田中義人さん。

 

■KYOTO JAZZ MASSIVE 『Eclipse / Silent Messenger』

KYOTO JAZZ MASSIVE 『Eclipse / Silent Messenger』 12” (COMPOST 068-1) / Germany / 2000

 

90年代初頭に結成された沖野修也と沖野好洋による兄弟ユニットのKYOTO JAZZ MASSIVEが、2000年に発表した1stシングル。沖野修也さんのサイン入りです。

 

ドイツのCompost Recordsからリリースされた12インチで、ミシェル・アマドーのコーラスが印象的なA面「Eclipse」は、英国国営放送BBCラジオZUBBチャートで3週連続1位を獲得しています。

 

■Jazztronik 『Samurai』

Jazztronik 『Samurai』 2LP (panlp001) / UK / 2005

 

イギリスのPantone MusicからリリースされたJazztronikのコンピレーション2LP。Jazztronikは、プロデューサー/鍵盤奏者/DJとして活躍する野崎良太によるミュージック・プロジェクトです。

 

アルバム・タイトルに起用された「Samurai」は、ルイ・ヴェガやダニー・クリヴィットといったトップDJにプレイされたJazztronikの代表曲で、欧米で発売された12インチも大ヒットを記録。ピアノ、コーラス、ビートを録り直した2020年バージョンも話題を呼びました。

 

海外で発売された国産ダンスミュージックのレコード

■KEN ISHII 『Extra』

KEN ISHII 『Extra』 12” (RS 95064) / Belgium / 1995

 

“東洋のテクノ・ゴッド”と称されるケン・イシイの名曲「Extra」の12インチ。最重要テクノ・レーベルといわれるベルギーのR&S Recordsからリリースされたレコードです。

 

1995年に発表された『JELLY TONES』からのシングルカットで、オリジナル・バージョンと、ルーク・スレーター、デイヴ・エンジェル、ワゴン・クライストことルーク・ヴァイバートによるリミックスを収録。

 

映画『AKIRA』の作画監督補として知られる森本晃司が手掛けた「Extra」のプロモーション・ビデオも世界的に評価が高く、イギリスのMTV Dance Video of the Yearを受賞しています。ジャケットやラベルのイラストも森本晃司によるものですね。

 

■Makoto 『Enterprise / Sweet Changes』

Makoto 『Enterprise / Sweet Changes』 12” (GLR036) / UK / 1999

 

UKドラムンベース界のレジェンドとして知られるLTJブケムが主宰するGood Looking Recordsから、1999年にリリースされたMakotoの12インチ。サイン入りです。

 

日本を代表するドラムンベースDJ/プロデューサーのMakotoは、Good Looking RecordsやHospital Recordsといったイギリスのレーベルから、数多くの作品を発表しています。

 

現在はロンドンに拠点を移して精力的に活動中。今年(2022年)の4月には、7thアルバム『MOTION OF CHANGE』がHospital Recordsからリリースされました。

 

■Joi 『Rapture EP』

Joi 『Rapture EP』 12” (WES 1027-1) / US / 2004

 

2000年に発表した「Love is Spiritual」と、ホアキン・ジョー・クラウゼルによる「Cravin’」のリミックスを海外でヒットさせたシンガーソングライターのJoiが、2004年に発表した『Rapture EP』。NYガラージ/ハウスの重要レーベルとして知られるWest End Recordsから、初めてリリースされた日本人の作品です。

 

ファルセットが印象的なシンガーでありながら、アレンジやプログラミングもこなすJoi。『Rapture EP』の収録曲も全て彼がプログラミングしています。

 

MISIAの『ASCENSION』(2007年)や『EIGHTH WORLD』(2008年)に、Joiが提供した楽曲が収録されているので、CDをお持ちの方はクレジットを確認してみてください。

 

海外で発売された日本人ヒップホップ・アーティストのレコード

■RONNY JORDAN MEETS DJ KRUSH 『BAD BROTHERS』

RONNY JORDAN MEETS DJ KRUSH 『BAD BROTHERS』 12” (IMA 8024 / 524 017-1) / UK / 1994

 

先ごろ、ソロ活動30周年を迎えたDJ KRUSH。日本で初めてターンテーブルを楽器として操ったDJとして知られるリビング・レジェンドですね。

 

1994年に発表した1stアルバム『KRUSH』が海外から高い評価を受け、一躍人気DJとしての地位を確立。現在も国内外で精力的な活動を続けています。

 

今回掲載したのは、1stアルバムと同じ年にIsland Recordsからリリースされた『BAD BROTHERS』のUK盤12インチ。アシッド・ジャズ・シーンで人気を博していたロニー・ジョーダンの楽曲を、DJ KRUSHがリミックスした名盤です。

 

■breakthrough 『Highway 2 U feat Amp Fiddler』

breakthrough 『Highway 2 U feat Amp Fiddler』 10” (pan10001) / UK / 2007

 

RHYMESTERのDJ JIN率いるbreakthroughが、2005年に発表したフルアルバム『BREAKTHROUGH』からのシングルカット。Pantone MusicからリリースされたUKオンリーの10インチです。DJ JINさんのサイン入り。

 

デトロイト音楽シーンのキーマン、アンプ・フィドラーをヴォーカリストに迎えた「Highway 2 U」(オリジナル、リミックス、リミックス・インストの3バージョン)と、ロンドンのクラブジャズ/ブロークンビーツ・シーンを代表するシンガーのベンベ・セグエをフィーチャーした「Green Like the Sun」を収録。

 

■GAGLE 『THE FUNKY INSTRUMENTALS VOLUME THREE』

NIK WESTON PRESENTS GAGLE (DJ Mitsu the Beats Production) 『THE FUNKY INSTRUMENTALS VOLUME THREE』 7” (MUKAT 010) / UK / 2008

 

HUNGER(MC)、DJ Mitsu the Beats(トラックメイカー)、DJ Mu-R(DJ)からなる仙台のヒップホップ・グループ、GAGLEのインスト曲をカップリングした『THE FUNKY INSTRUMENTALS VOLUME THREE』。ロンドンを拠点に活動するDJのニック・ウェストンが主宰するMukatsuku Recordsからライセンス・リリースされた7インチです。

 

2002年に発表された1stフルアルバム『3 MEN ON WAX』の収録曲「雪ノ革命」のトラックを、DJ Mitsu the Beatsがリエディットした「Snow Revolution (DJ Mitsu the Beats 2008 instrumental edit)」は、ジャンルを問わず多くの音楽ファンに聴いていただきたい名曲。

 

B面の「Practice & Tactix (Soljazzmix Inst – GUYNAMUKAT edit)」も素晴らしいので、未聴の方はぜひ!

 

■Dos Monos 『Dos City』

Dos Monos 『Dos City』 LP (DBA193) / US / 2019

 

都内の中高一貫校で知り合った荘子it(トラックメイカー、MC)、TaiTan(MC)、没 a.k.a NGS(MC、DJ)によって2015年に結成されたDos Monosのデビューアルバム『Dos City』。

 

2019年3月20日に日米同時発売された初のフィジカル作品で、CDは国内のbpm tokyoから、アナログ盤とカセットテープはアメリカのDeathbomb Arcからリリースされました。ミックスを担当したのはIllicit Tsuboi(イリシットツボイ)。

 

MVが制作された「スキゾインディアン」や「アガルタ」「in 20XX」「Clean Ya Nerves」を聴いていただければ、この若きヒップホップ・グループの魅力を感じとっていただけると思います。

 

海外で発売された国内パンク/ハードコア・バンドのレコード

■GASTUNK 『UNDER THE SUN (US Mix)』

GASTUNK 『UNDER THE SUN (US Mix)』 LP+7” Flexi-disc (PUSMORT 0012-19 / AMB-1) / US / 1987

 

国内のパンク、メタル、ヴィジュアル系バンドに多大な影響を及ぼしたGASTUNKが、1987年に発表した2ndアルバム『UNDER THE SUN』。

 

こちらは曲順やミックス、ジャケットを変え、PusmortからリリースされたUSバージョン。A面収録の4曲が英詞で録り直されています。

 

Pusmortを主宰するパスヘッドは、METALLICAやMISFITS、COCOBATといった人気バンドのジャケットやマーチャンダイズを数多く手掛けるイラストレーター。米国版『UNDER THE SUN』のジャケット・デザインもパスヘッドによるものです。

 

 

「Wild Times」のライブ・バージョンを収録したソノシート(Flexi-disc)は、UKエジソン限定の購入特典。

 

■GAUZE 『GAUZE』

GAUZE 『GAUZE』 7”EP (PRANK 09) / US / 1997

 

1981年に結成され、国内ハードコア・シーンを代表する現役バンドとして絶大な人気を誇るGAUZEが、1997年にリリースした7インチ。

 

1996年のUSツアー中に録音された音源で、1997年4月に発売され4thアルバム『面を洗って出直して来い』に収録された「歯を喰いしばれ」の別バージョンと、5曲の再録版で構成されています。

 

私が所有しているのは、Prank Recordsから発売されたUS盤7インチ。通常の黒いレコードです。限定発売された国内盤は、黒地に縞模様が入ったカラーレコードということもあってレアアイテム化していますが、個人的には黒盤の方が好み。

 

■HI-STANDARD 『MAKING THE ROAD』

HI-STANDARD 『MAKING THE ROAD』 LP (FAT 599-1) / US / 1999

 

1997年に主催フェス『AIR JAM』を成功させて、一大ブームを巻き起こしたハイスタことHi-STANDARDの人気作『MAKING THE ROAD』(1999年)。横山健さん(ギター、ヴォーカル)のサイン入りです。

 

こちらは、NOFXのファット・マイクが主宰するFat Wreck Chordsから発売されたUS盤LP。国内盤とはジャケ違いで、バンド名もすべて大文字(HI-STANDARD)で記載されています。

 

■envy 『all the footprints you've ever left and the fear expecting ahead』

envy 『all the footprints you've ever left and the fear expecting ahead』 LP (TRR129) / US / 2008 Reissue

 

『君の靴と未来』という日本語タイトルで知られるenvyの2ndフルアルバム『all the footprints you’ve ever left and the fear expecting ahead』。

 

『AIR JAM』以降に起こったバンド・ブームに背を向け、インディペンデントな活動を続けたenvyは、海外で積極的にツアーを敢行。欧米やアジア圏のロック・ファンから注目を集めていきます。

 

『AIR JAM 2000』を最後にハイスタが活動を休止して以降、ブームに浮かれていた多くのバンドが失速していった2001年に発表された『君の靴と未来』は、国内以上に海外から高い評価を獲得。envyを一躍スターダムに押し上げた歴史的名盤です。

 

今回掲載したのは、2008年にTemporary Residence LimitedからリリースされたUS盤LP。2001年にH.G. Factから発売された国内盤のCDやLPとはジャケットのデザインが異なります。

 

海外で発売された国内オルタナティブ/ポストロック・バンドのレコード

■toe 『the future is now ep』

toe 『the future is now ep』 10” (BSM134V) / UK / 2012

 

国内ポストロック・シーンを牽引するtoeが、2012年に発表した『the future is now ep』。東日本大震災の被災者支援を目的として震災直後に配信でリリースされた「Ordinary Days」の別バージョンや、ゲスト・ヴォーカリストとしてACOを迎えた「月、欠け」を収録した4曲入りのEPです。

 

こちらは、イギリスのBig Scary Monstersからリリースされた10インチ。ブラック・ヴァイナルとカラー・ヴァイナルが各150枚限定でプレスされました。

 

本作の10インチはアメリカのTopshelf Recordsからも出ていて、昨年(2021年)もリイシュー盤が発売されています。

 

■OOIOO 『Gamel』

OOIOO 『Gamel』 2LP (thrill371) / US / 2014

 

ボアダムスのYoshimiO率いるOOIOO(オーオーアイオーオー)が2013年に発表した『Gamel』。ガムランをフィーチャーし、ライブに近い状態でレコーディングされた作品です。

 

こちらは、2014年にアメリカのThrill Jockeyから出た2LP。Shock Cityからリリースされた国内盤CDとはジャケ違いです。

 

ベーシストのAYAが全面参加している坂本慎太郎の2ndアルバム『ナマで踊ろう (Let’s Dance Raw)』も、US盤LPが発売されていますね。

 

■mouse on the keys 『tres』

mouse on the keys 『tres』 LP (TSR193) / US / 2018

 

国内のみならず欧米やアジアからの評価も高いインストゥルメンタル・バンド、mouse on the keysが2018年に発表した3rdアルバム『tres』。ヴォーカルやポエトリー・リーディングを取り入れた意欲作です。

 

アメリカのTopshelf Recordsから発売されたアナログ盤は、Coke Bottle Clear w/ Silver盤(500枚限定)、Dark Teal w/ White盤(150枚限定)、180g Black盤(350枚限定)の3種類。私が所有しているのは、500枚プレスされたCoke Bottle Clear w/ Silver盤です。画像をご覧ください。

 

ジャケットのサインは、川﨑昭さん(ドラム)、新留大介さん(キーボード)、清田敦さん(キーボード)、サポート・ミュージシャンの飛田雅弘さん(ギター、ex. envy)、佐々木大輔さん(トランペット)、小林宏衣さん(ヴォーカル、本作には不参加)。

 

2021年5月に清田さんの脱退と、川﨑さんと新留さんがmouse on the keysとしての活動を継続することが発表されました。彼らの新作が発表される日が来ることを待ちましょう。

 

ソロ活動をスタートさせた清田さんは、2022年1月にTONKOU名義の7インチを発表しています。

 

■Z.O.A x BORIS 『REFRAIN』

Z.O.A x BORIS 『REFRAIN』 LP (DK-150) / UK & Europe / 2020

 

海外で高い人気を誇るBORISが、かねてから影響を公言していたZ.O.Aと制作したコンセプチュアル・コラボレーション・アルバム『リフレイン』のLP。Z.O.Aでドラムを叩いているPAZZさん(DOOM/元GASTUNK)のサイン入りです。

 

イギリスのDog Knights Productionsから発売されたアナログ盤は、レッド(100枚限定)、グリーン(100枚限定)、ブラック(500枚限定)の3種類。私が購入したのはブラックです。なお、国内盤CDはBORISのAtsuo(ドラム、ヴォーカル)が主宰するFangsanalsatanからのリリース。

 

海外で発売された日本アニメのレコード

 

最後にこちらのアニメ・サントラ盤を紹介。『AKIRA』や『攻殻機動隊』といった世界的な人気を誇る日本アニメのレコードが、海外のレーベルから発売されるケースも増えてきました。

 

■SEATBELTS 『COWBOY BEBOP』

SEATBELTS 『COWBOY BEBOP』 2LP (19439787681) / Europe / 2020

 

1998年4月から1999年4月にかけてテレビ東京系~WOWOWで放送された『カウボーイビバップ』。海外からの評価も高いSFアニメですね。

 

作編曲家/鍵盤奏者の菅野よう子が手掛けた『カウボーイビバップ』のサウンドトラックは、アニメ同様に国内外の音楽ファンから注目を集めた作品で、第13回日本ゴールドディスク大賞のアニメーションアルバム・オブ・ザ・イヤーを獲得しています。演奏は、菅野率いるSEATBELTSが担当。

 

今回掲載したレコードは、2020年に発売されたEU盤の2枚組LP。放送当時はCDしか発売されなかった『カウボーイビバップ』のサントラ盤をレコードで聴けるのは、非常に喜ばしいことです。

 

2021年12月20日に公開された記事で『AKIRA』と『攻殻機動隊』の海外盤を紹介しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

 

 

 

執筆:五辺宏明